後頭部ビジネス

若木くるみの後頭部を千円で販売する「後頭部ビジネス」。
若木の剃りあげた後頭部に、お客さんの似顔絵を描いて旅行にお連れしています。


*旅行券の販売は現在おおっぴらにはしていません。*

2019年12月10日火曜日

ミュージアムパーティーの記録 1


わたしは社交が苦手な上に自意識が過剰なので、人がたくさん集まる場所には行かないようにしています。
それでもやむをえず知らない人と交流せねばならない事態に陥ることもあって、先日の美術館でのミュージアムパーティーがそれでした。

自分のゲストトークの役割を無事に終え、懇親会の時間になりました。
懇親会は立食形式でした。
わたしはとにかく外交を無視して一心不乱に食べ物と向き合う心づもりでいたのですが、テーブルのおしゃれフードは瞬く間に空になって、その起伏の失われたテーブルの平面、お皿の平面、どこもかしこもただひたすら平板な目の前の光景を、気絶しかけながらわたしはオロオロと見守りました。追加の食料があるはずだと信じていたからです。しかし希望は捨てなければなりませんでした。いよいよもう、追加は来ないのだと受け入れなければならなくなった瞬間、ショックで目がチカチカした。カロリーが、カロリーが消えた…。

立食パーティーに何を期待しているんだ馬鹿めと思われるかもしれませんが、主催の方からは「ギャラはないけどカレー食べ放題だから」と言って呼ばれていたんですよ!! 食べ放題なら行きます! と思ってふたつ返事で、頭の中はとにかくカレーカレー、カレー食べ放題用のおなかで行ったら、なかった…カレー……。カレーなかったし食べ放題でもなかった…。なんでだよ…。

ここからはスーパー個人的な事情になりますが、わたしは直前まで200kmの大会に参加していて、カレーカレーカレーカレー、カレーあるからがんばろうと思ってずっと走っていたからもう、本当に命がけでカレーを目指していたから…。

だいたい超長距離を走ったあとなんて衰弱しきっていて飲み物すら喉を通らないような状態なのですが、この大会に限って胃腸が絶好調で食欲がものすごかったんですよ。だから色々、元気すぎたのが運の尽きでした。

ブーブー文句ばかり言っていますが、わたしの胃袋が異常なだけで少食の女子なら満足できるくらいの軽食にはありつけました。見た目も味もクオリティ高かったです。

それでもひもじいわたしは約束がちがうと思って、冷静にならねばと努めてもはらわたが煮えくりかえっておさまらず、血走った目で主催者に駆け寄ってひどいよと怒りをぶつけた。
相手はニコニコしていました。
たぶんカレーごときでこんなに人が怒れるわけがないと思って真剣に取り合われなかったのですが、クッ…! こっちは本気だからな!
後日、ココイチに連れて行くよう改めて脅迫メールを送りました。
「事務所総出でやりますね(木下優樹菜)」ぐらいの熱い気持ちでしたよ。

食い意地に支配されていてつらいです。
こんな大人げないことばかりしているとまともな人間関係が築けないと思いながらも、おなかが空いていると暴走しちゃって止められないんだよなあ〜。
ギャンブルで身を滅ぼすタイプとか、アル中ヤク中いろいろな方がいらっしゃいますが、食で身を滅ぼすのがいちばんマヌケで救われない気がします。

今回は相手の方の心が広かったおかげで自分の狂気的なさもしさを流してもらえましたが、みんながみんなやさしいわけじゃないこと知ってます。
改めて、食べ物が潤沢にあるかどうかわからない社交場へ出向く危険性を思い知ったので、ますます引きこもりに磨きをかけようと思いました。
しかし引きこもるのはココイチに行ってからだ話はそれからだ