カフェグレイス。
店内が果てしなくかわいいだけでなく、パフェも紅茶もとてもおいしいお店でした。
後頭部に驚いたアルバイトの女の子がおずおずと写真を撮っていかれたことがきっかけでお話がはずみ、一家でお店を切り盛りされている中の、お母さんが旅券を買ってくださいました。
カフェグレイスカフェグレイス!
放っとくと、買い食いや歩き食べに終始して食をないがしろにしてしまう我々ですが、素敵なカフェに行くのが今回の寺岡さんの旅のテーマです。
現在地は、山に囲まれた町の、すみっこのほうです。
中心部へと見当をつけて歩き出しました。
歩いていると唐突に、大きな板チョコが目に入りました。
自分が意地汚いせいで木材がチョコに見えているのかとも思いましたが、偶然だとしたら似過ぎています。でも、チョコに模したお菓子の家ごっこにしては周りの環境が全然ファンタジーじゃないし、何事だったのかいまだにわかりません。
しかしカカオが名産という情報をゲットしたので、お土産にチョコレートを買うことにしました。
何人かに道を聞いて、明るいうちに観光エリアに復帰できました。
ひと気の少ない通りが心細かったので、町の賑わいにほっとしました。
ちょっとつまみ食い、とバナナチップスを買いました。
おつりをちょろまかされたと思ったら間違えていたのは自分のほうで、赤面しました。
はじめはただただ逆さになった鶏のビジュアルに圧倒されていたので、見せ物じゃなくて本当に売り物だったんだなあと初めて理解できました。
一口目も二口目も十口目もそれはそれは感動的なおいしさです。
ひとつのジュースを武内さんといっしょに飲むはずだったのですが、これはあかんと思って、引き返してもうひとつ買いました。
お兄さんが、半切りにしたオレンジを次々手際よく絞り機でプレスして、あっというまにフレッシュジュースの出来上がりです。
果物に興味のないはずの武内さんが帰国後の日本でもオレンジジュースを飲んでいるので、どうしたの? といぶかしむと、今回の旅で好きになったそうでした。
お面も欲しかったけれど怪しげな店内に踏み込む勇気はなく、こうしてびっしり揃っているから見応えがあるのだ、単体では魅力が半減するに違いないと言い聞かせました。
教会のカラーリングがレトロです。
夕暮れの、重たい鼠色の空にその愛らしさが引き立ちました。
大通りのどこかに入ればいいものを、ちょっと離れた通りをうろついたせいで迷子になりました。
外灯の下、地図を見つめて立ちすくんでいると、「あれ!?」という日本語が聞こえます。ゲストハウスで会った、グアテマラ帰りのカップルでした。
わー! 素敵なカフェ、ご存知ないですか!?
挨拶もそこそこにカフェ情報を求めてから、てめえらみたいなホームレス風情が何カフェとか言ってんだよと思われたらどうしようと思って、「あっわたしたちは全然、カフェとか普段入らないんですけど後頭部の寺岡さんがカフェを経営されている方でそれでぜひカフェに行きたいと思ってカフェカフェ」とすごい勢いでバリアを張りました。
補足も含めてますます不審な言動にもグアテマラ男女は動じずに、やさしく「カフェは大通りだよ!」と3つも紹介して下さいました。
お土産も買えました。
別に寺岡さんを持ち上げたくて言うわけじゃないけど、グレイスよりかわいいお店は大通りにはなかったです!
ミッション成功に糸の切れた私たちは、弛緩した動作でシナモンロールを口に運びました。
おしゃれカフェなのについ、シナモンロールとかいうおなかに溜まりそうなものを選んでしまう自分がかなしかったです。それから、ココアはどういうわけか薬草の味がして、もっとデブのよろこぶ味を期待していたのに健康志向でむかつきました。自分とおしゃれとの反りの悪さを実感しました。
もう我々の内面がおしゃれとはほど遠いもんね、と開き直った気持ちでした。
ゲストハウスに着いて、おしゃれキッチンの前でハイチーズ。
後頭部のアイディアは宿泊客にも軒並み好評で、パチパチ撮影をしてもらいました。
わたしは、カフェグレイスのご家族のみなさんの笑顔に憧れます!
メキシコのカフェも良かったですが、わたしにとってのベストオブカフェはグレイスだな、という超幸せな出来レースで旅を締めたいと思います。
寺岡さん、本当にありがとうございました!
ごちそうさまでした。
ごちそうさまでした。