後頭部ビジネス

若木くるみの後頭部を千円で販売する「後頭部ビジネス」。
若木の剃りあげた後頭部に、お客さんの似顔絵を描いて旅行にお連れしています。


*旅行券の販売は現在おおっぴらにはしていません。*

2016年4月6日水曜日

チンちゃん

今大会には、招待選手として3名の日本人がエントリーされていました。
120km男子に重見さん、100km男子に石川さん、100km女子に椎名さん。
ナンハンは今年から、日本の、京丹後ウルトラマラソンと提携するようになったのだと聞きました。

今晩、招待選手たちを招いての歓迎会があるそうで、わたしたちもお呼ばれに預かりました。

宿の斜め向かいの食堂にはもう皆が集っていて、拍手喝采で出迎えてくださいました。
「台南加油」の衣装も着ていたので大いに盛り上がり、ひとしきり記念写真を撮り終えたあとで円卓に座りました。

隣の座席には招待選手の方がいて、「日本人ですか?」「芸人さんなんですか?」。
「はははは、いえ、美術をやっていて…。明日わたしたちも走るんです。」
……重見さんはいらっしゃらないのかな。所在なくそうつぶやくと、「重見さんは来ませんよ」とのことでした。そうかあ。

石川さんは27歳、椎名さんは20歳。
走力すごすぎる方たちとこうして同席させていただいていることが何かの間違いなのですが、おふたりともお若いせいであまりこちらにへりくだらせてくれず、むしろなんだか遠慮させてしまったようで悪いことをしました。
いつまでも年下キャラでうまくやっていきたいのですが、もうあとは年齢詐称するしかないです。

走力と年齢と精神年齢(我々が5歳)とが比例していないぎこちない会話のさなか、武内さんがひそひそ声で、「くるちゃん。となり。見てみな。すごいかわいい」と耳打ちしてきました。
処理できないほどたくさんの方に声をかけられ写真を撮られるので、わたしは無意識のうちにあまり人の顔を直視しないようにしていたのでした。
慌てて左隣を見ましたが、距離が近いせいかなかなかピントが合いません。3秒ほど凝視して、「これは」と思いました。これは、ただごとではありませんでした。ピントが合わなかったのは距離感のせいではありません。眩しすぎるのが原因でした。

ウルトラスーパーかわいいい!
360度かわいい、史上最強かわいい!!

彼女もランナーで、先日フルマラソンを完走したそうです。
名前は陳です。「チンって呼んで」って言われたけど「チン」って言うたびにどうしてもよこしまな気持ちになってしまうので、「チンちゃんでもいい……?」。

チンちゃんに、明日は何キロ部門に出るのか聞くと、明日は走らず取材なのだと名刺を渡されました。チンちゃんカメラマンだそうでした。明日、チンちゃんがランナーの写真を撮るみたいです。撮る側より撮られる側になったほうが世界のために絶対いいよと思いました。




は〜もうチンちゃんかわいいパーフェクト、うぶげもかわいい、体温もかわいい、吐く息までかわいい、とか言って夢中でチンちゃんの呼気を自分のほうに扇いでいたら、「さすがにやめて」と武内さんにたしなめられました。
チンちゃんが台湾で最も重要な美のスポットであることは間違いないです。

チンちゃんとの自撮りは、後頭部を向けて乗り切っていましたが、ついに正面の顔を要求されてしまいました。
チンちゃんのスマホを自分のツラで汚したくない一心で、撮影中も恥じ入ってご飯を食べ続けていたのですが、その後チンちゃんのフェイスブックにアップされたスリーショットは全然、許容範囲でした〜! 
明るさを加工してくれており優しさを感じましたが、チンちゃんが我々について「日本美少女!」と説明をつけているのはやりすぎだと思いました。日本と美と少女を貶めないでほしいです。

わたしは食事中なのが幸いし、お箸のおかげでガチャガチャの歯並びを隠せているし、武内さんもエラをわからなくするため、画角からわざとはみ出るよう写ったそうです。
これからも必死の創意工夫でSNS時代をサバイブしていきたいです。