六甲ミーツアートのアドバイザー、原久子さんです。
初めてお会いしたのは愛知の芸術センターではなかったでしょうか。
何年も前のことです。
単発で消えると思っていたのが、今なお美術界とつながっているなんて!
意外としぶとく生き残っている自分にびっくりです。
小学校と同じだけの年数です。
いつの間にか一発屋とは呼ばれなくなっていました。
とか言って一発屋って知名度ある人に使う言葉でした。間違えた。一発屋を気取っていたのは自分自身ですが、それでもとにかくわたしはもう、自分を一発屋とは認めない。
ただ、最も離婚が多いのは7年目らしいし、あと1年をなんとか乗り切って、さらなる延命方法を原さんにアドバイスいただきたいです。
遅れていた飛行機にやっと乗り込むことができました。
行き先はチアパスの大学です。現地の方と待ち合わせをしていて気が気じゃないであろう先輩が、なんとか平静を保とうとして「これがメキシコや、これがメキシコや…」と死んだ目でつぶやいている様子が恐怖でした。
空港特有のものものしさは一切なく、空港職員の方が次々と記念撮影をしていかれる、アットホームなロビーです。
わたしが後頭部人気にヘラヘラしている間に、先輩たちがタクシーを手配してくれていました。
……!!!!!
フロントガラスにめりこんでいる銃弾の痕で、眠気がふっとびました。
対向車線からいきなり撃たれたりしませんように!
銃弾への興奮が薄れて、単調な道のりに居眠りしていると目的地の大学に着きました。
と思いきや運転手の方が勘違いをされていたようで、「この大学じゃない」の先輩の言葉に再び車のエンジンがかかりました。
着きました!
版画工房です。
オープンキャンパスみたいで若返りました。
構内をお散歩しました。
建物に描かれたイラストもたのしいです。
「キャンパス」
「ユニバーシタリオ」
とだけ書かれている看板は、学校名が入っていないのが潔いと思いました。
大学のすぐ外の街並は絵のようにかわいい色使いで、見惚れてばかりでなかなか前に進めません。
こんなカラフルな所に住んでいたらさぞ美的感覚も磨かれることでしょうね。
嫌みのひとつも言いたくなります。
しかしモノクロに加工してみるとこれはこれで非常に雰囲気のある写真になって、メキシコは色だけが素晴らしいのではなかった。
あっぱれでした。
ただの細長い長方形がなぜこんなにおしゃれなのでしょう。不思議です。
グラウンドで走れば? と武内さんにトレーニングを強いられましたが、拒絶。
メキシコは標高が高いせいで、わたしは呼吸をしているだけで息苦しいのです。
不良品になってしまった体がかなしくて、ゴミ捨て場に感情移入しました。
尋常じゃない数の落書きで椅子が覆われています。
コンパスで描いたようなえぐれたひっかき傷に、とてつもなく大きなエネルギーがこもっている気がしました。
暗がりの教室に入り込んで写真を撮ったら、ブレて椅子の落書きエネルギーが放出されてるみたいになりました。
日暮れです。
ふたりとも、おなかがとても空いていました。
屋台でオレンジジュースとサンドイッチのような平たい塊を買いました。
大学に着いた時から、屋台を目ざとくチェックしていたわたしの滑らかな注文に、武内さんが感服していました。
わたしは食物が絡むと途端に注意深くなります。
ポッポコーンも辛くするのがメキシコ流です。
香ばしい香りがアトリエいっぱいにたちこめていました。
対向車線からいきなり撃たれたりしませんように!
と思いきや運転手の方が勘違いをされていたようで、「この大学じゃない」の先輩の言葉に再び車のエンジンがかかりました。
着きました!
構内をお散歩しました。
「キャンパス」
「ユニバーシタリオ」
とだけ書かれている看板は、学校名が入っていないのが潔いと思いました。
嫌みのひとつも言いたくなります。
しかしモノクロに加工してみるとこれはこれで非常に雰囲気のある写真になって、メキシコは色だけが素晴らしいのではなかった。
あっぱれでした。
ただの細長い長方形がなぜこんなにおしゃれなのでしょう。不思議です。
メキシコは標高が高いせいで、わたしは呼吸をしているだけで息苦しいのです。
コンパスで描いたようなえぐれたひっかき傷に、とてつもなく大きなエネルギーがこもっている気がしました。
暗がりの教室に入り込んで写真を撮ったら、ブレて椅子の落書きエネルギーが放出されてるみたいになりました。
大学に着いた時から、屋台を目ざとくチェックしていたわたしの滑らかな注文に、武内さんが感服していました。
わたしは食物が絡むと途端に注意深くなります。
ビニール袋に入った飲み物を渡されるのはこれが初めてではありませんが、その都度「おおっ」と面食らいます。
蚊がビニールを刺してくるとか、不測の事態にならないことを願うばかりです。
奪い合うように無我夢中で餌をすすっていると、先輩たちが現れてビールやポップコーンを買い込んで来られたので、慌ててビニール袋を隠して口の中のものを飲み下しました。勝手に我々ふたりだけで買い食いしたことを恥じました。
香ばしい香りがアトリエいっぱいにたちこめていました。
学生の皆さんと一通り自己紹介タイム。
左端の方はオカマだっけホモだっけ、なんか「オカマ」って日本語で言っていた気がします。複雑な自我を抱えているとは思えない、はじけたキャラクターでした。
オカマが自作の版画をプレゼントしてくれて感激しました。
なんか、穴に棒が刺さってるとか、そういうオカマ的解釈をしてしまいそうでしたが、普通にとても良い作品でした。
版種は銅版かな…? 自分も版画専攻だったのに、ブツを見てもよくわかりませんでした。
大事にしようと思えない作品だとお互い傷つくので、もらってうれしい作品で心底ほっとしました。
和やかな美大訪問でだいたいがボケーっとしていたのですが、大学の講師をされている原さんを後頭部に背負っていることもあり、時折視察をするようなキリリとした眼差しになりました。
アドバイザー感を出しながら掲示物にいちいち茶々を入れるのが、エセっぽくてたのしいごっこでした。
原さん、メキシコの大学には活気と夢と、あとオカマもいてたのしかったです!
ありがとうございました!