30分ほど車は走って、台中港ホテルに到着しました。
手続きでわからないところは倫が通訳してくれました。
246kmは夜、22時スタート。
106kmの部の武内さんは、今日はここに宿泊して、翌日バスで清境まで移動します。
倫の家は台中の反対側だと言うし、「電車ないんでしょ? どうやって帰るの? ホテルの方に送ってもらえないかな?」慌てました。せっかくついてきてくれたんだし、もっとお話すべきなのかとも思いましたが、倫は別にそんな気もないようで、部屋に不備がないかを一通り確かめると、「眺め悪いね」とか言ってあっさり帰っていきました。
エレベーターの扉が閉まるのを見送って、「ほんとにひとりで帰らせて大丈夫かなあ」と心配すると、「大人の台湾人なんだから大丈夫に決まってんじゃん。それよりちょっとでも長く休みなよ。」
武内さんが冷静に言いました。
時刻は午後3時になるところでした。大会受付まであと3時間。
「夜スタートする大会って他にもある? 出たことある?」
「あるよ。萩往還とか、トレイルでもたまにあるよ。涼しいから走り易いよ。」
武内さんの質問に答えました。明日スタートする106kmも20時スタート。夜間走から始まります。
寝られなかったことに大打撃を受け、武内さんに慰められながら階下へ行きました。
「スタート前にどれだけ眠れるかが勝負だね。」共通の思いで目を合わせました。
246kmの制限時間は42時間。
これからふた晩、夜を越えて走らねばなりません。どれだけ長く寝られるかが、レースの成否にかかってきます。
だけど、眠れなかった……。
スパルタスロン前夜は、学芸員の片岡さんにもらった、「若木さん『根拠のない自信』の人でしょ? わたしもなの。大丈夫よ。眠れるよ。」の励ましを繰り返して本当に眠れました。
今回も「わたしは根拠のない自信の人だから大丈夫眠れる」って、唱えたのですが……。
ちゃんと疲れているはずなのに、いつもなら昼だろうが夜だろうが、寝ちゃだめな場面でもグーグー寝ちゃって顰蹙買うくせに、スパルタの時は眠れたのに、そうだ、寝なきゃ寝なきゃと思うから寝られないんだ、ってじゃあ寝るな寝るなと思ってみたらそのままどんどん目が冴えてきてだめだあああ! 片岡さん! 根拠のない自信もう一度ください! 寝られないです!!
「あきちゃん〜。寝られないよ〜。」
苛立ち紛れに寝返りを繰り返しているとこむら返りに見舞われたりして、体が全身で緊張を訴えている感じでした。
18時になってしまった。
情けない。
他の選手はこんなふうにホテルの部屋で寝られないのに。
武内さんが今晩ここに泊まってくれるからこそ、わたしはこうしてベッドを使えているのに。
特典を無駄にした。消えたい。
これからふた晩、夜を越えて走らねばなりません。どれだけ長く寝られるかが、レースの成否にかかってきます。
だけど、眠れなかった……。
スパルタスロン前夜は、学芸員の片岡さんにもらった、「若木さん『根拠のない自信』の人でしょ? わたしもなの。大丈夫よ。眠れるよ。」の励ましを繰り返して本当に眠れました。
今回も「わたしは根拠のない自信の人だから大丈夫眠れる」って、唱えたのですが……。
ちゃんと疲れているはずなのに、いつもなら昼だろうが夜だろうが、寝ちゃだめな場面でもグーグー寝ちゃって顰蹙買うくせに、スパルタの時は眠れたのに、そうだ、寝なきゃ寝なきゃと思うから寝られないんだ、ってじゃあ寝るな寝るなと思ってみたらそのままどんどん目が冴えてきてだめだあああ! 片岡さん! 根拠のない自信もう一度ください! 寝られないです!!
「あきちゃん〜。寝られないよ〜。」
苛立ち紛れに寝返りを繰り返しているとこむら返りに見舞われたりして、体が全身で緊張を訴えている感じでした。
18時になってしまった。
情けない。
他の選手はこんなふうにホテルの部屋で寝られないのに。
武内さんが今晩ここに泊まってくれるからこそ、わたしはこうしてベッドを使えているのに。
特典を無駄にした。消えたい。
寝られなかったことに大打撃を受け、武内さんに慰められながら階下へ行きました。