後頭部ビジネス

若木くるみの後頭部を千円で販売する「後頭部ビジネス」。
若木の剃りあげた後頭部に、お客さんの似顔絵を描いて旅行にお連れしています。


*旅行券の販売は現在おおっぴらにはしていません。*

2014年11月24日月曜日

昨日今日明日

昨日、京都芸大の版画専攻三回生のグループ展(という授業)、《クローゼット》のゲストトークに行ってきました。

トークは午後一時から。
トークがはじまる直前の朝の、山下さんとの会話です(緑の吹き出しがわたしの発言)。
このあと武内さんも「くるみ頑張れ!」と会話に加わってこの件は終わりました。

わたしは録音する気など全くありませんでした。聞きたいなら来れば、と思いました。聞かせねえよと思っていました。

そしたら、だれが来たと思いますか。

武内さんが、来ました……。

昨夜ロシアから成田に着いて、武内さんは東京の自宅へ帰宅、わたしは夜行バスで京都へ帰ったのです。
「本当にありがとう!  また!」
とか言って。
まさか。
まさか来るなんて思ってもみませんでした。
ちなみに会場は京都駅近くではありません。バスを2本乗り継いで坂道を歩かねばならない、ほとんど民家のような土蔵が舞台です。

トークが始まって少ししてから遅れて入場してきた方がいて、目でご挨拶しようと思ったら何かただごとじゃない雰囲気で、けれども武内さんが来るとは全く考えてもみなかったわたしは事態をちょっと飲み込めず、観客の皆さんといっしょに呆気にとられるばかりでした。

なんでこの人、目にいっぱい涙を溜めてんだ?  ていうか泣いてる!  こわいんだけど!!
センセーショナルな登場でした。

それからさらに驚くべきお客さんがあって、後頭部ビジネスの北京旅行1日目に似顔絵を描いた、ゆうきくんご一家が来てくれたのでした。
わたしたちはゆうきくんの顔写真しか知らなかったので、ゆうきくんが動いている!  ゆうきくんから音声が出ている!  生ゆうきだ生ゆうきだ!  3Dだ!!  と大騒ぎでした。

質問タイムに、ゆうきくんが、気になっていることがあると言います。
お母さんがそれを慌てて止めていて、あちゃー、性格批判されるのかなあ、でも心の準備はできているのでなんでもどんと来いですよ!!  と思って超身構えたら、なんのことはないお金の話でした。
「旅行いっぱい行ってずいぶんリッチなんだね」
なあんだ、そんなことか、です。
ほっとしました。

「北京は父親主催の《武内さんへのギフト旅行》なのでお金はかからなかった、タイはホテル込み燃油込みでひとり4万の格安チケットがとれた、ロシアも血なまこになって航空券を探してひとり7万弱、ギリシャはもともと行く気で貯金をしていたけど、それも10万以下の航空券を探せました。海外へ行ったからと言って贅沢をするわけではないので、今のところ六甲や福山や札幌のギャラでまかなえています。ただし旅行は年内で一旦終わる予定です。」

ここまで内情をつまびらかにしなくとも良かったのでしょうが、リアリティを優先させてがんがん数字を出してゆうきくんを圧倒しました。

ゆうきくんがかわいかった!  その上かしこかった!  会えてうれしかったです。ありがとうございます!

三回生からは、武内さんに向けて「なぜ若木さんに協力してあげているんですか?  なぜいっしょにやっているんですか」という問いがありました。

「…たのしいから。」
武内さんが首をかしげて頭悪そうに答えていたけど、わたしはそれだけじゃないと思った。たのしいからだけでこんなことできない。

「武内明子が来た!!」
トークの終わった夜、興奮して共通の知人にメールをしたら「お前ら友情が美しいな」と返ってきて(皮肉かな)、わたしはそうだろうそうだろうと得意に思いました。
それから、ひらめいて、武内さんは、わたしたちは、《「美しい友情」という作品》をつくろうとしているのではないか。そう感じたのでした。

いい作品をつくりたい、いい展示にしたい。

ふたりの関係性がひとつの《作品》であり、旅行やイベントの数々は《展示》に当たるのではないか。
もっといい作品、もっといい展示。
口にはしなくとも、たぶん、互いの覚悟のもとに成り立っている《美しい友情》なんだと思います。
武内さんがプロデューサーで、わたしが演者かな?
課題、美しい友情。

武内プロデューサーからは、肝心のトークには「知ってるエピソードばっかりだった」という耳の痛い判定を受け、「でも学生には刺激的だったと思うよ。」となぐさめてもくれたのですが、わたしはやばい新作つくらなきゃと思いました。
新作できるまでトークにはもう来なくていいよ!!

三回生の皆さんはとても立派な学生でいらっしゃいました。
わたしは自分のズタズタな制作態度に悪い影響を受けないでほしいなあと思った。
これでいいと思ったら大間違いです!  わたしは奇跡の作家(無能という点において)なだけです。
しっかりしているみんなは自力で、そのまますくすく版画をやればいいと思います。そして、成功したあかつきにはわたしに何か、こまい仕事を与えてほしいです。なんでもやりまーす!

トーク後の談笑風景。

母校の後輩に呼ばれることがこんなにうれしいこととは思いませんでした。うれしいと思えたこともよろこばしいことでした。
自分のことなのですが、自分の親のような気持ちというか…。
これから活躍して、皆さんに誇りに思ってもらえるようになりたいです。
三回生の皆さんありがとうございました!

東京に帰る武内さん。
ありがとうございました。

わたしはミーツアート最終日に六甲山に着くよう、いま京都から走って向かっているところです。
現在まだ高槻らへん。
先は長いです(すっぽかしたい)。

後頭部には、六甲ミーツアートで担当してくださっている関さんの顔を描いています。


それと、同じく旅券を買ってくださった六甲ミーツアート総合プロデューサーの坂本さんもタイにお連れしたのですが、日記がミーツアートの会期中に追いつかなかった…。
すみません!  写真だけ一枚アップしておきます、ごめんなさい!  一週間以内を目標にアップします!  ごめんなさいー!!

(坂本さんは象に乗りました)