後頭部ビジネス

若木くるみの後頭部を千円で販売する「後頭部ビジネス」。
若木の剃りあげた後頭部に、お客さんの似顔絵を描いて旅行にお連れしています。


*旅行券の販売は現在おおっぴらにはしていません。*

2015年1月23日金曜日

てるてる坊主の台湾高雄

こちらは子どもの頃のお写真だそうです。背景は動物園でしょうか。
子どもだった自分に旅をさせるっておしゃれですね。
お名前は「てるてる坊主」さん。

描けました。
実物よりもマイルドな人相になりました。

眉を寄せるとぐっと社会派の顔になりました。
しかしこれは後に画面上で修正したもので、「知り合いだから似てなくてもいいや」とか言って実際は描き直さず、力んでいないほうの顔で旅をしました。

朝の関空です。
これから、武内さんと父と、マラソン大会へ出るため台湾に行きます。

搭乗時間を待つ間に、遅い朝ご飯を食べました。


店内に入ると食品サンプルが地べたに積まれる珍事が起きていて、サンプルとわかってはいても、ぞんざいに扱われた食物を見るのは気まずかったです。

ドリンクバーのジュースが100%で満足でした。

ピーチ航空は機内食や機内映画のサービスがないので、飛行中ノンストップで睡眠しようと士気を高めました。


武内さんとほぼ一言も言葉を交わすことなくぐっすり寝ました。

以前もたびたび台湾に来ており、高雄空港は3回目です。
入国審査が終わってゲートを出ると全家(ファミリーマート)の緑色が目に飛び込んできて、駆け寄って飲料を二本も買いました。ピーナッツ味で甘い。

地下鉄の高雄駅です。

近未来を思わせるド派出な駅は観光地化していました。


ATMでの操作はうまくいかず、銀行窓口で両替。
円安のため去年よりもレートが悪く残念です。


父は台湾は初めてでした。
まず気温の暑さにびっくりしていました。


てるてる坊主さんの写真がいくつの時のものなのか聞き忘れましたが、6才ということにして一年生気分で小学校を眺めました。給食の時間が待ち遠しかったです。

10分ほど歩くとホテルに着きました。

中に入るといきなりプラダとグッチの免税店があって、タイやロシアでよくわからない宿に泊まっていたわたしと武内さんは場違いな気分になりました。

エレベーターの階ボタンも部屋のカードキーをかざさないと押せない、金持ち向けの神経質なセキュリティでした。
良いホテルなのは父がウォシュレットつきの宿を願ったためです。

荷物を下ろし、セーターを脱いで観光へ出かけました。

再び地下鉄に乗ります。


生態園駅で下車。


武内さんの案内で、左営蓮池潭という淡水湖まで歩きました。


鼻ピアス大きい(口かな)。

釣りは景気が悪そうでした。

すごいね! 大きいね!
歓声をあげると、武内さんが「でも本当のメインはここじゃないんだ、龍と虎の中に入れるんだけど、前来たときにはもう閉まっていて。」と教えてくれました。
夕方早くに閉まると聞いて、急ぎ足になります。

撮って! 
まかせるからと言って父に撮影を頼むとオブジェの首ががっつり切れていて、「いや顔は入れてよ!」「じゃあ最初から指示しな!」早くも口論に…。

「くるちゃん。言い方。」隣では武内さんが短いセンテンスに「父への敬意をくれぐれも忘れぬよう」という忠告を閉じ込めて、カメラの方に懸命に笑いかけていました。

広い公園を走って、ようやく目的の龍が見えてきました。
武内さんは、マラソンの練習だと称して父と走れたのがたのしかったそうです。あっそ。


汗だくになって駆け込んだ龍の口には、しかしちょうどシャッターが下りたところ…。

外側から恨めしく見上げながら、「まあどうせ中入ったからってたいしたことなかったと思うけどね」と負け惜しみを言い合いました。

と思ったらメインはもっと先にあって、武内さんが「うーん、覚えていないもんだなあ、そうだそうだここだった。」と懸命に記憶を立て直していました。
龍と虎が二体、並んで口を開けています。

竜のおなかのトンネルです。
口の中に入るときには「食べられる!」と思わず体がこわばりました。

すごい!
見応え!
面白い!
ひとつひとつの造形が特に優れているわけではありませんが、壁伝いにランダムに偉人が配置されていて目移りします。それぞれの関係性が見えるような見えないような、物語性があるようなないような、知識がないせいか読み方はわからなかったのですが、絵が飛び出していて単純に楽しいです。
さっき「見られなかった!」とがっかりした分も加算されて、2倍わくわくできました。

帰ってから調べたガイドブックでは、「台湾の人は干支の中で竜が最も良い動物で虎が最も悪い動物と信じている。だから必ず竜から入って虎から出よう。」とあったのですが、それなら最初に悪い動物をくぐって良い動物で終わったほうが後味が良いのでは?

ともかく「虎の口から出ると善人になれる」のだそうで、善人になった実感はありませんでしたが、これからは自信を持って善行を働こうと思いました。

虎の毛並みの表現が常軌を逸した興奮状態です。


悪い動物扱いされていると知る前は強くかっこよく見えていた虎ですが、俄然悪そうに思えてきて少しかわいそうです。


龍虎塔に登ると、四方八方から花火の音が聞こえました。
台湾人は花火、爆竹が大好きだそうです。

湖に浮かぶ通路はギザギザしていて、花火と並ぶ爆音の、雷のイメージなのかなと思いました。良い動物の竜も悪い動物の虎も、どちらも等しく稲妻に撃たれているのが仲良しでした。

外は見る間に暗くなりましたが塔に灯りはなく、手すりにつかまりながら、急な階段をこわごわ下りました。

出口には、顔は龍だけど亀の甲羅を背負っている妙な石像がありました。横目で通り過ぎてから、皆が龍をなでなでしているのを見て引き返し、なでなで。
真似して撫でさすりながら、どんなご利益があるのか知らずに撫でても効能はあるものなのかと気になりました。
もしくはアラジンのランプ的な、何か願いが叶う的な彫像だったのかなあ。
てるてる坊主さんすみません、願いを唱え忘れました。欲の無さを評価されて、今になって何か願いが叶ったりしますようにと思います。
てるてる坊主さんの子どもの頃の動物園の思い出に、台湾の龍虎園での一幕も加えてもらえるとうれしいです。
ありがとうございました!