札幌でパフォーマンスをしていた時に「去年六甲で見ました!」とおっしゃってくださいました。たまたま北海道に来られていたそうで、そんな偶然があるものかと驚いて旅券を押し売りしてしまいました。
後頭部の顔はこのところずっと武内さんが描いてくれているのですが、フーフー息を吹き付けて滲む汗を乾かしたり、失敗した時は唾でこすって修正してくるのがすごく嫌です。
でも描いてもらっている側のわたしは立場が下なので、「きもい」「よだれくさい」と文句を言いながらもされるがままになっています。おとなしいキャンバスです。
華がないなあと思いましたが、パーツのひとつひとつは似ているので衣装と髪型の問題のようでした。
地べたに腹這いになって写真を撮らねばならないほど立派な宮殿です。
箸休め的な愛くるしさでした。
お線香をあげて奥の間に入ります。
熱心にお参りしているふたりのTシャツのしましまは、ペアルックなのか偶然かぶってしまったのか、考えていると後頭部が発光してしまいました。
祈りに集中しました。
一瞬を切り取った人間くさい表情に目が離せません。
米俵、軍手、モップ、宮殿内部のそこここに散見される日用品が、海外旅行の緊張感をほぐします。舞台裏の生活臭を隠そうともしない、ともすれば雑な仕事ぶりは、他人行儀じゃない付き合いをしてくれているようで幸せな気持ちになりました。
夜には橋がライトアップされ、恋人たちが集まってくるそうです。
台湾に来ると、時間の流れがゆっくりです。
さてそれはなぜなのか。センター試験の設問のつもりで、皆で意見を出し合いました。
1、誰も忙しそうじゃないから。
2、老人が多いから。
3、北京の時のようにガイドさんがいないから。
4、お化粧をしている人が少ないから。
スーツを着ている人がいなくて、皆すっぴんでのんびりしているから、街全体が家の中のように感じられるのではないかと思いました。
よって「街がよそ行きの顔をしていないため居心地が良く、のびのびした気持ちが時間を忘れさせる。決して時間がゆっくり流れているわけではなく、時間の概念が希薄になっているだけである。」が正答です。
カフェでタピオカミルクを飲みました。
時間はまだゆっくりです。
台湾の信号機は、色が変わるまでの残り時間が毎秒カウントダウンされるのがとても親切です。
時間が絶えず進んでいることが思い出され、急ぎ足になりました。
今朝見た、「危険!」の女のポスターをまた見つけました。
今度は「搶救!」とあります。ラベルはアンチのいたずらではなく、デザインだった確証が得られてすっきりしました。
あー、朝プールで髪ゴムなくしちゃったー。
と思っていたら、ゴムが道に落ちていて、二歩進んでから、思い返してやっぱり拾った。
ちなみに武内さんが今くくっている髪ゴムも先日札幌で拾ったもの(同じ黒いゴムでもよれ具合でどこで拾ったゴムだかわかる)だそうで、この話、ありえないと言って引く人いっぱいいるだろうなあと思いました。
「いいとも」の、100人にひとりアンケートでストラップもらえるかもしれないレベル。「髪ゴムは買う派じゃなくて拾う派だという人!! アンケートスタート!」
それから武内さんが神妙な顔で、「一個しかないとなくさないんだけど二個あると両方ともどっかいっちゃうんだよね。」と語り出して、何それ本当に髪ゴムの話? でした。ラジオパーソナリティの恋愛指南コーナーが始まったかと思いました。
高級ホテルだったのにロビーの飾り棚はごちゃごちゃしていて実家っぽかったです。
この通りには衣類のお店がたくさんありました。
観光の手をゆるめることなく、地下鉄で次の目的地の展望台へ向かいました。
後頭部を撮るときに声をかけずにそっと隠し撮りする人が多いのは日本と似ていました。
顔がアジア人で同じ国の人に見えるから、みんな遠慮して、言葉を発しないよう気をつかっているようでした。
後ろ手にピースを出して、無言のうちに「ウェルカムよ」と伝えると、安心したように「グッド」の親指で返してくれてうれしかったです。
みちこさんありがとうございました!