後頭部ビジネス

若木くるみの後頭部を千円で販売する「後頭部ビジネス」。
若木の剃りあげた後頭部に、お客さんの似顔絵を描いて旅行にお連れしています。


*旅行券の販売は現在おおっぴらにはしていません。*

2015年1月28日水曜日

みちこさんと三鳳宮

みちこさんです。
札幌でパフォーマンスをしていた時に「去年六甲で見ました!」とおっしゃってくださいました。たまたま北海道に来られていたそうで、そんな偶然があるものかと驚いて旅券を押し売りしてしまいました。


後頭部の顔はこのところずっと武内さんが描いてくれているのですが、フーフー息を吹き付けて滲む汗を乾かしたり、失敗した時は唾でこすって修正してくるのがすごく嫌です。
でも描いてもらっている側のわたしは立場が下なので、「きもい」「よだれくさい」と文句を言いながらもされるがままになっています。おとなしいキャンバスです。

三鳳宮の入り口で、みちこさんが描き上がりました。
華がないなあと思いましたが、パーツのひとつひとつは似ているので衣装と髪型の問題のようでした。


地べたに腹這いになって写真を撮らねばならないほど立派な宮殿です。

門の向こうにも、芸術的な彫刻を施されたきらびやかな世界が広がっていました。


かと思うと、あひるやおじいさんのふざけたおもちゃが池の風情をぶち壊していたりして、伝統文化をおちょくっています。

箸休め的な愛くるしさでした。


お線香をあげて奥の間に入ります。


熱心にお参りしているふたりのTシャツのしましまは、ペアルックなのか偶然かぶってしまったのか、考えていると後頭部が発光してしまいました。


祈りに集中しました。

ひな人形セットだと五人囃子みたいな人たちには、ひな段の若手芸人みたいな躍動感がありました。

それぞれバラエティで活躍していそうな面々でした。
一瞬を切り取った人間くさい表情に目が離せません。

レリーフの皆さんもどこかとぼけていて、偉人というより、そのへんに実在する大家族の、めかしこんだ集合写真のように見えました。

三階建ての宮殿のベランダからは、よそのお宅のくたびれた洗濯物や犬の寝そべる路地が見えて、市民の暮らしがすぐ隣にあるこの立地が、三鳳宮の、三百年の歴史の中で、釈迦や観音菩薩の顔の造形をとっつきやすい表情に変えたのではないかと思いました。



米俵、軍手、モップ、宮殿内部のそこここに散見される日用品が、海外旅行の緊張感をほぐします。舞台裏の生活臭を隠そうともしない、ともすれば雑な仕事ぶりは、他人行儀じゃない付き合いをしてくれているようで幸せな気持ちになりました。

普段着の宮殿、三鳳宮でした。



高雄運河とも呼ばれる、愛河という気恥ずかしい名前の川沿いを散歩します。
夜には橋がライトアップされ、恋人たちが集まってくるそうです。


垂れ下がった、長過ぎる柳の葉が髪の毛のようにまとめられていました。







台湾に来ると、時間の流れがゆっくりです。
さてそれはなぜなのか。センター試験の設問のつもりで、皆で意見を出し合いました。

1、誰も忙しそうじゃないから。
2、老人が多いから。
3、北京の時のようにガイドさんがいないから。
4、お化粧をしている人が少ないから。

スーツを着ている人がいなくて、皆すっぴんでのんびりしているから、街全体が家の中のように感じられるのではないかと思いました。
よって「街がよそ行きの顔をしていないため居心地が良く、のびのびした気持ちが時間を忘れさせる。決して時間がゆっくり流れているわけではなく、時間の概念が希薄になっているだけである。」が正答です。

カフェでタピオカミルクを飲みました。
時間はまだゆっくりです。


台湾の信号機は、色が変わるまでの残り時間が毎秒カウントダウンされるのがとても親切です。
時間が絶えず進んでいることが思い出され、急ぎ足になりました。



今朝見た、「危険!」の女のポスターをまた見つけました。
今度は「搶救!」とあります。ラベルはアンチのいたずらではなく、デザインだった確証が得られてすっきりしました。

あー、朝プールで髪ゴムなくしちゃったー。
と思っていたら、ゴムが道に落ちていて、二歩進んでから、思い返してやっぱり拾った。
ちなみに武内さんが今くくっている髪ゴムも先日札幌で拾ったもの(同じ黒いゴムでもよれ具合でどこで拾ったゴムだかわかる)だそうで、この話、ありえないと言って引く人いっぱいいるだろうなあと思いました。
「いいとも」の、100人にひとりアンケートでストラップもらえるかもしれないレベル。「髪ゴムは買う派じゃなくて拾う派だという人!! アンケートスタート!」
それから武内さんが神妙な顔で、「一個しかないとなくさないんだけど二個あると両方ともどっかいっちゃうんだよね。」と語り出して、何それ本当に髪ゴムの話? でした。ラジオパーソナリティの恋愛指南コーナーが始まったかと思いました。

ホテルに着いて、荷物を持ってチェックアウト。
高級ホテルだったのにロビーの飾り棚はごちゃごちゃしていて実家っぽかったです。

小学校が選挙の投票場になっていて、一般人も学校の玄関まで入れました。

ゆるキャラの雪だるまがたくさんいましたが、中でも顔がメロンで体がスイカの雪だるまが間違いなくハーフ賞でした。

美しいポージングの女性が居並ぶブティック。
この通りには衣類のお店がたくさんありました。

ベンチにおばさんが横になっているという、本当に、家みたいなバス停です。

観光の手をゆるめることなく、地下鉄で次の目的地の展望台へ向かいました。
後頭部を撮るときに声をかけずにそっと隠し撮りする人が多いのは日本と似ていました。
顔がアジア人で同じ国の人に見えるから、みんな遠慮して、言葉を発しないよう気をつかっているようでした。
後ろ手にピースを出して、無言のうちに「ウェルカムよ」と伝えると、安心したように「グッド」の親指で返してくれてうれしかったです。
みちこさんありがとうございました!