後頭部ビジネス

若木くるみの後頭部を千円で販売する「後頭部ビジネス」。
若木の剃りあげた後頭部に、お客さんの似顔絵を描いて旅行にお連れしています。


*旅行券の販売は現在おおっぴらにはしていません。*

2015年1月25日日曜日

萌さんと夜市で食べ歩き


萌さんとはさっぽろアートステージでお会いしました。
トークがおもしろかったと声をかけていただいて感激しました。



夜になっても湿度と熱気が高く、汗が滲みます。
室内で顔を描ける場所がないか探したのですが見つからず、公園の街灯の下で描きました。

あちこちに蚊の猛攻を受けました。
痒くてもぞもぞすると「じっとして!」と言われてつらかったです。

犬も暑さのせいかぐったりしています。
それにしても頭数が多すぎるので、集団催眠か毒ガス事件かと思いました。

駅へ向かう帰り道、用もないのに製菓店に入ってしまいました。
ロシアではどのお店も薄暗かったことを思い出して明るい照明にうれしくなったのですが、光につい釣られてしまった自分を虫のようだと思いました。

キャラケーキの再現度が手頃でした。食べるのが惜しいというほどでもなく、ちょうどよくかわいかったです。

楽しみにしていた夜市でこれから食べ歩きをするので、本当は今は間食してはいけないとわかっているのですが、空腹に負けてスポンジの切れ端を買いました。

なんといっても切れ端は端役だから、主役に手を出すつもりはないからと自分のおなかに言い訳をしてガツガツ食べました。見た目が切れ端だからと言ってカロリーは変わらないのが痛いところです。


タイでも見かけたココナッツが、道ばたに無造作に積まれていました。
お店の人は見当たらず売り物の雰囲気もなく、価値が薄そうでした。

帰り道、決まって道に迷ったわたしたちの現状を打破すべく、武内さんがホテルに現在地を聞きに行ってくれました。
がらんとした事務的なロビーで、クリスマスツリーがやたら慈善事業っぽかった。台座の周りに積まれた贈り物の箱ですが、この感じは絨毯の上でやってもらわないとあたたかみが出ないと思いました。硬質な床にプレゼントのきらめきが反射していて、美しいのは包装紙だけで中身はからっぽに違いないと思うと寂しかったです。

その後も何度か人に道を聞いて、地元の台湾の方には英語も中国語もあまり通じず、それでもなんとか進むべき方向を見定めました。

ウェルカム  トゥ カオシュンの文字です。
高雄はカオシュンと呼びます。
駅の周辺に来たようです。
結局1時間くらい歩きました。武内さんが迷ったことを申し訳なさそうに、「お父さんが体力あってよかったなあ。普通のお父さんだとこうはいかないよ」とため息をついていました。歩くのは平気だと思うけど待たされるとキレるよ。と思いました。

地下鉄の切符販売機はタッチパネルでハイテクです。
路線図が一目瞭然で分かり易いです。

構内の広告には「阪急百貨店」の文字もあって、気を抜くと海外旅行中だということを忘れそうになります。


再び美麗島駅に戻ってきました。

前回来てからというもの、ずっとまた行きたいとたのしみにしていた、屋台の並ぶ夜市を歩きます。


まず武内さんの好きなパパイヤ牛乳を買いました。他にも色々な種類のフルーツ牛乳があって、牛の帽子をかぶった店員さんが脇目も振らずに働いています。
わたしは杏仁茶を一気飲み。杏仁豆腐味の飲み物です。


臭豆腐。お店によって味が違うんだなと思いました。これも台湾名物です。
父は「臭い」と言って嫌っていました。
臭豆腐好きのわたしも武内さんもびっくりして、二対一でつい非難するような顔をすると、そもそも父は屋台そのものが気に喰わないようで、「不衛生だ」と露骨に眉をひそめていました。
なんと。
わたしは夜市がうれしくて仕方なかったのですが、そういえば子どもの頃はお祭りに行っても決して屋台で食べ物を買ってはいけませんでした。皆、母親に服従しているだけだと思っていましたが、父は自由意志で屋台を避けているらしく、全くびっくりです。

夜市を一旦出て、そのへんの簡単なお店で父は食事をし、屋台で食べたい我々は存在感のない冬瓜のスープをつっつきました。

再び夜市に戻って食べ歩き。
武内さんの愛するカラスミです。
父はカラスミも初めて食べると言って、しかし結局これも嫌いで武内さんにあげていました。酒豪のくせに、酒のつまみっぽいもの全般をあまり好まぬようでした。


次は豆花という甘い豆腐のデザートです。尖ったところがどこにもない、やさしい味と食感です。
トッピングには紅芋や豆各種などを選べます。
これは父も食べられてよかった。

「前来た時よりも人が少ないね」
「前はもっと押し合いへし合いしていたよね」
時折、後頭部をとり囲まれるものの、それほど大騒ぎにはなりません。
ほっとするような、寂しいような気持ちです。


乗り気でない父の手前はしゃぎづらく、またスポンジの切れ端によってそこそこおなかが落ち着いていたこともあって、絵的にかわいい小さなカニの唐揚げを食べて終わりにしました。


屋台のひとつに盆栽アイスのお店があって、父が「アイディアだ」と言って無邪気によろこんでいてツボがわかりませんでした。
盆栽アイスは、鉢っぽいカップにアイスを入れてハーブをぶっ刺しただけの代物で、あきちゃんならもっとうまくやるよ! と思いました。


タイで、ドリアンと間違えた果物もありました。
シャカトウと言う、お釈迦様の頭に似ている南国フルーツです。


帰り道、コンビニに寄りました。
見慣れたお菓子が勢揃いです。

壁にはでかでかと、
「北海道ちょうといいの味」。

ちょうどいいの味?
ちょっといいの味?

らしい間違いでした。
ちょうどいいって言われてもちょっといいって言われても味の表現としてはなんとなく弱いので、「超ド良い」味でどうだと思いました。

それにしても台湾でも北海道ブランドは健在なんだなあと思うと、道産子としては誇らしい思いでした。北海道の萌さんと喜びをわかちあえるのもうれしかったです。

北海道は今頃雪が積もっているんだろうなあ。
高雄は夏の夜のような蒸し暑さです。
北海道にいる萌さんのことを考えると、後頭部側だけにさっと涼しい風が吹いたようでした。

その晩は、暑い国特有の開放的な雰囲気にちょうどよく疲れてぐっすり寝ました。
萌さんありがとうございました!