後頭部ビジネス

若木くるみの後頭部を千円で販売する「後頭部ビジネス」。
若木の剃りあげた後頭部に、お客さんの似顔絵を描いて旅行にお連れしています。


*旅行券の販売は現在おおっぴらにはしていません。*

2015年2月17日火曜日

二日目、あすみちゃん53km

元気いっぱいあすみちゃんです!
いとこのみはるちゃんが後頭部ビジネスを知って、いい記念になるからと愛娘あすみちゃんの写真を送ってくれました。ありがとう!

あすみちゃんの初海外は台湾です。
近場でごめんね!
近場な上にマラソンを走ります。旅行というより苦行です。

今日はツアー二日目。
後頭部のあすみちゃんは愛くるしい笑顔ですがわたしは筋肉痛で全身がけだるいです。


いただきます。
皆元気です。右の女性が昨日一位だった人です。

スタート前に、宿舎の寺院を見学しました。

台湾版、絵馬のようなお札がたくさんぶらさがっていました。
内容はわかりませんが、神頼みせざるを得ない状況の人々が台湾にもこんなにいると思うとなんとなく愛おしかったです。

なるべく楽に、苦しまずに今日が終わりますように…。
思わずそう祈っていて、まるで安楽死を望む言葉のようでした。
あすみちゃん(4才)にしては未来がなさすぎる…。

外は雨ふりです。
暑いのが嫌なわたしは雨をここで無駄遣いされるのがもったいなくて、どうせ降るならスタートしてからにしてくれよとため息をつきました。

武内さんの筋肉痛は去年よりもずっとマシとのことで今後に期待ができました。
皆揃ってスタートです。

9kmエイド。
あすみちゃんのあどけない笑顔に癒されますが、正面のわたしは鬼の形相で水分摂取に励んでいます。
昨日よりも気温は10度以上低いので走り易いはずなのですが、アップダウンの連続に汗は激しくほとばしって、今日が昨日のような晴れだったら即死だったと思いました。

20kmでスイカ、27kmでオレンジ、36kmで豆乳、45kmでお汁粉の汁を摂取。
ご飯や肉まんはやっぱり食べられず、固形物を咀嚼するエネルギーがあるなら全部足にまわしたかったです。
走っている間どんどん食べないとエネルギーの出ない武内さんと違って、ガス欠の気配はわたしにはありません。原因は体脂肪の差です。
エイドを背負って走っているのと同じことだもんね! と武内さんが言うので、わたしが自分の腕をむしゃむしゃ食べながら走るふりをすると、ウケた。

ゴール。
6時間8分。
汗と雨とであすみちゃんがぼーっと薄れてしまいました。

走っていたら少しずつ去年のことがよみがえってきました。
去年は、初日だけ走ってあとは車で応援に回った武内さんの「アップダウンきつかったね!」というねぎらいに、「いや、実際走ってみるとそんなに坂って感じないんだよ〜」などとクールに語っていたのでした。その当時の自分の感想を心のよりどころにしていたら、今やすごいアップダウンで裏切られた思いでした。

既にゴールした人の部屋の前には、中敷きまで洗濯してある靴が干されていて、メンテナンスの丁寧さに驚きました。
一方わたしが靴をどうしているかというと、冷凍庫にぶちこんでいるんですよ……。洗うのは面倒だけどそのままだと殺人的な臭いだから…。ずぼらの極み! 
凍らせることで菌が死滅して靴が臭わなくなるそうなのですが、最初は感動した秘技フローズンの術も、だんだん効かなくなってきた気がします。
わたしはアナ雪をみても「エルサに靴を凍らせてほしい」とか思っていたのですが、♪ありのままの〜って、もう臭いを偽るのはやめようというメッセージなのかなとも思いました。

今日の宿は豪華なリゾートホテルなので、部屋にはもちろん冷凍庫も完備されています。
レリゴー!

ランナーはなかなか帰ってきません。

あきちゃん来ないなあと寂しくゴールテープを眺めていると、一位の田上くん(仮名)がスーパーへの買い出しに誘ってくれました。

車で、10分先のダウンタウンへ向かいます。
アキコが戻ってくるまでにゴールに戻れる? 絶対戻れる? と何度も確認して乗りましたが、武内さんがいつ帰ってくるかとわたしは気が気じゃありません。

車内はノリノリの中国語が飛び交っていて、修学旅行のようでした。

これがスーパーかなと思ったけどもちろん違いました。

こっちです。


田上くんはどでかい豆乳を買ったり、接着剤を吟味したりしていました。接着剤はシューズの底を補修するためのものと思われます。

わたしも、別に何もいらないけどせっかくスーパーに来たし…と500mlの豆乳を手にレジへ行こうとすると、田上くんに「こっちのほうが得だから!」と推されて2リットルの豆乳を買うことに…。重かったです。
さらには帰りの車が着く前に「アキコゴールしそう」という情報が入り、皆はゴールできてよかったね! と明るい表情だったのですが、そうじゃないんだよ! 見届けないといけないんだよ! わたしは罪悪感でいっぱいでした。
「アキコはボーイと手をつないで走っているから大丈夫だ」という、茶化した説明を受けてやっと、じゃあ大丈夫かあと安心できたのですが、ゴールで出迎えられない申し訳なさは残りました。

大会スタッフの方が撮ってくれたゴール!

父も途中まで迎えに行ってくれたようでした。
ボーイとあきちゃんとふたりだけのところに行ってしまったら気まずい思いをしただろうから、キャンディがいてくれてよかった! と思いました。

車はわずかに間に合わず! 

お疲れさまでした。
あきちゃんは、とてもつらくて後半ずっと、ボーイとガールに両手を引っ張られて進んだと涙ながらに語っていました。

本当にお疲れさま!!(画面右端が昏睡する武内さん)

夜には、武内さんの疲労を心配して、ランナーの方が漢方を届けにきてくれました。
しかしこれを機にこの方の名前は「漢方おじさん」になってしまって、満面の笑みもどことなく切なかったです。

大きな食堂で豪華な夕飯です。


次から次へ料理が運ばれてきますが、足だけでなく内蔵も弱り気味で、せっかくのごちそうなのにいつものように興奮できません。

日本で見ない、ワックスアップルというフルーツがうれしかったです。

こどもサイズの顔出しパネルに入ってみたり(入り方が雑)、

卓球見学を15秒くらいしてみたり、

コインを入れずにUFOキャッチャーのボタンを押しまくって、「童心に返ったつもりの図」をなんとか形だけ写真に残しました。
ホテルに戻ると、ふたりとも明日に待つ60kmに絶望しながら寝ました…。

今日の完走メダル。
全行程を走破して毎日のメダルを並べると、円になるんですって。おしゃれですね。
「メダルなんて、重いしいらないと思っていたけど、完走できないかもしれないと思うとメダルの価値が増す。」と武内さんが呻いていて、明日もボーイとガールが助けてくれますようにと願いました。
わたしは自分と後頭部のことで手一杯だよ!

キュートなあすみちゃんの笑顔で、今日も完走できました。
ありがとう!