後頭部ビジネス

若木くるみの後頭部を千円で販売する「後頭部ビジネス」。
若木の剃りあげた後頭部に、お客さんの似顔絵を描いて旅行にお連れしています。


*旅行券の販売は現在おおっぴらにはしていません。*

2015年12月30日水曜日

熊本成田モスクワアテネ

武内さんと、熊本空港から成田空港へ。

そのまま空港のソファで雑魚寝して、翌朝搭乗ゲートに向かいました。
わたしのバックパックの重さは7kgと軽く、国内便でも問題にならない重量でした。
何を忘れたんだろうと思わず不安に駆られます。

エイドに預ける予定のういろうを非常食に格下げしてコソコソ食べようとした瞬間、「お疲れさまです。」の声が降ってきて、ハッと顔をあげると並んでいたのはいつも親切にしてくださる北海道のご夫婦でした。
ご主人がスパルタスロンに参加されるランナーです。

「わたしたちもモスクワ乗り換えです!」
同じ便でアテネを目指すと知り、行程を共にさせていただけることになって心から安堵しました。

我々の乗ったアエロフロートの機内映画には日本語設定がなくて、わたしは映画を機内食よりも楽しみにしていたのでとてもがっかりしました。
そんな中、言葉がわからなくても画を追って楽しめるアクション映画は貴重で、当時まだ日本で公開されていなかったジョンウィックがとりわけ最高でした。
主人公は、キアヌっていうお米みたいな名前の俳優です(余計な説明)。
悪役は皆同じスーツを着ているので筋を見失わずに済みました。セリフもありがたいことに少なくて、英語わからないけど、どうせ気の利いた掛け合いをやってたんだと思います。
キアヌリーヴスが悪に復讐しまくるただそれだけの映画で、わっしょいわっしょいでした。

モスクワでは2時間程度で乗り継ぎでき、非常に効率良く、短時間でアテネに到着しました。

アテネ空港、23時。
日本ではギリシャの経済危機が大きく取り上げられていて、また難民が公園にあふれているなどのニュースもあり、わたしはとにかく治安が心配でした。
明るくなってから行動しようと我々はこの日も空港泊の予定でしたが、北海道のランナーさんが音頭を取ってくださり、深夜2時、4人で空港バスに乗り込みました。

真っ暗な夜をバスがゴトゴト走ります。
乗客はまばらで、張りつめた気配はどこにもありません。
けれども、寒さで荷物をぎゅっと抱きしめていると体は自然に警戒態勢にかたどられていて、うとうと眠たくても、異国の真夜中だという緊迫感は損わずいられました。

大会指定のホテルに着いたのは午前3時半だったでしょうか。

ホテル大丈夫かなあ。
朝までロビーで待機させてもらえるかなあ。
去年は名簿に不備があって受付で1時間以上待たされました。
その上今年は、この通りの非常識な時間の訪問です。
うまくいくわけない……。
エントランスで弱腰になる我々を制すように、北海道の方の「グッモーニン!」という朗々たる挨拶が響き渡りました。
いやいや、そりゃあ北海道の日の出は超早いけど、いくらなんでもこれを朝と呼ぶのは無理があるのでは……。
しかしそんな心配をよそにあっけなく手続きは終わり、「朝食の時間は7時からだから」というフロントマンの言葉とともに手元に残されたのはカードキー!
え、うそ、もうチェックインしていいんですか!?
ま、じ、で!?

こうしてわたしと武内さんは、3日ぶりに布団に横になれたのです。
しかも、朝ご飯も食べて良いなんて、ほんとは昼食からのパックだったのですが、ギリシャすごい。ふところ。

ギリシャはいい加減だってよく日本の方が憤慨しているのを聞くけど、こんないい加減もあるんですね。国民性に筋が通っています。
わたしはもう金輪際、いい加減だという理由でギリシャを批判することはありません。
ありがとうありがとう。