「急いで! もうバス来たって!!」
暗い反省会の真っ最中に、当のみずきさんが来られたのでびっくりしました。
え! 予定より1時間早い!!
完走パーティーに向かうバスが、もう着いたという情報でした。
やばばばば! 顔描かなきゃ!
黒いマジックで、剃りたての後頭部に向かいます。
時間がないので武内さんが描きました。描き慣れた、武内さんの自画像。
時間ないね! もう行こう!
仕上げは車内ですることにして、とりあえずバスに乗り込みました。
他の皆さんも慌てていて、まだ乗客は揃っておらず胸をなでおろしました。お知らせくださってありがとうございました。
画材は持ってきておらず、唇の赤は武内さんの口紅で、目と歯の白は歯磨き粉で着色。
背もたれに色をつけないよう、上体を前に倒します。
バスが発車しました。
パーティー会場って毎年変わるんですって。
財政難の煽りでしょうか。去年よりもぐっと小さなスペースです。
緑の照明もステージもなく、窓から差し込む自然光がグラスをクリアに透かしています。
「ゼッケン番号順」とか決めてくれればいいものを、座席表などあるはずもなく、各自自由に座らねばなりません。
何より苦手なフリータイムを思うとものすごくつらかったですが、前日お話した方を見つけ、「こ、ここ、ここここ空いてますか!」って、うわずりながら持ちかけて契約(席)にこぎつけました。
「ゼッケン番号順」とか決めてくれればいいものを、座席表などあるはずもなく、各自自由に座らねばなりません。
何より苦手なフリータイムを思うとものすごくつらかったですが、前日お話した方を見つけ、「こ、ここ、ここここ空いてますか!」って、うわずりながら持ちかけて契約(席)にこぎつけました。
ディナーは昨年同様、バイキングでした。
ご飯の前に、皆で今大会のフォトムービーを鑑賞しました。
10分。(https://www.youtube.com/watch?v=TSAi1d9sIRo)
自分が走ったばかりだったので、全ランナーにたっぷり感情移入して観ました。
それと同時に、自分は映っているのかどうかというドキドキが……。
そういえば今の自分には後頭部があるのでいろんな方に写真を撮られますが、席に座るという一大ミッションを終え、わたしはすっかりくつろいだ気持ちでいました。
するとテーブルの皆さんが、「うしろ、うしろ」と目配せしてきます。
はいはい〜。写真ですね、どうぞどうぞ〜。
楽勝気分で後ろ手にピースを出すと、「振り向け」の合図。
ん? 首をひねるとそこにいたのは、「ひ、ひええ…。お、お兄さん……。」
終盤手をつないでくれ、いっしょに走った外国人が肩に触れています。何かパクパク口を動かしておられますが、その声は耳には届きません。
っわー! 後頭部バレた!
目が、色を失う瞬間というのをわたしは初めて見た気がします。もともと色素の薄い瞳が、後頭部女に変身したわたしを知ってほとんど白目になっていて、「はじめまして、わたくしこういう者です」って改まったご挨拶をしたい気持ちでした。
「あの、本当にお世話になりました……。次に生まれて来るときにはきっと、普通の女子になりたいです……。」心の中で南無阿弥陀。
それから武内さんといっしょになって、同席している若い日本の方々に、今もっとも勢いのある脱肛の話を繰り出しました。
さっき起きたばかりの、初めて人にお披露目する話です。手探りの未完成トークだったのですが、さすが、肛門でつながれただけのことはありました。ふたりの息はぴったりで、話すこと話すこと、まあウケるんです。
「(指を突っ込まれて)友だちとして新たなステージへ行きました」とかなんとか…。
ウケるというよりいやがられてるんですけど、なんか若い子のいやがる姿ってほんといいもんだな、って……。
「あきちゃんどうしよう、白倉さんが目合わせてくれなくなっちゃったよ〜!」
セクハラをすみません。
それからわたしのリクエストに応え、武内さんが顔モノマネ。
イメージを視覚的に伝えようとくちまわりを使って脱肛を忠実に再現する姿に、最低! 最高!! わたしは爆笑でしたがお兄さんたちは静かに引いていました。
実写だと刺激が強いためドローイングでご想像ください。
唇を割って赤く突き出しているのが舌(腸)です。
肝心の表彰式のことはあまり覚えておらず、ただ、後頭部のせいでわたしは時間を使い過ぎてしまいベテランの女性ランナーに注意されました。
もっともなご指摘をありがとうございます。大変申し訳ございませんでした。
自分の時よりみんなの授与式のほうがうれしかったです。
ビンタの方
風貌
白倉さん
みずきさん♡
顔がかっこいい人
プロポーズされるえみちゃん! おめでとう!! わたしたちうれしいです!!
授与式のあとはそんなに時間が残されておらず、食欲もまだ本調子でなかったため、甘すぎるチョコレートムースを食べきれなかったのが無念でした。
隣の男の子に「急いで下さい! あとで甘いもの買ってあげますから!」って言わせてしまい、せめて年下にたかるのだけはやめようと思いました。
大切にしたくなる手触り。
マラソン発祥の地の余裕が憎いです。