後頭部ビジネス

若木くるみの後頭部を千円で販売する「後頭部ビジネス」。
若木の剃りあげた後頭部に、お客さんの似顔絵を描いて旅行にお連れしています。


*旅行券の販売は現在おおっぴらにはしていません。*

2016年6月15日水曜日

焼き鯖を食べました

ゴール後、越田さんが銭湯まで案内してくださいました。
大会参加賞には入浴券も含まれています。
うれしいサービスですが、更衣室も浴室も走り終えたランナーでいっぱいでした。
女子ですらこの混雑ということは、男子のほうは芋洗い状態だったのではないでしょうか。
サウナと水風呂は空いていました。慌ただしく3セットやった。
泡がすごい勢いで噴射するバブル風呂が、筋肉疲労に効く気がしました。わたしは肩、二の腕、腹筋が激しい筋肉痛でした。武内さんは上半身はなんともなくて太ももが筋肉痛だって。ふたりとも全然ちがう走り方をしてたんだろうなと思いました。


湯上がり、3人で、父の家まで行きました。


たのしみにしていた参加賞の焼き鯖で夕飯。
大きくてびっくりしました。
おいしいお召し上がり方の説明書きには「あたためる」とありましたが、レンジにおさまりそうにないし、部屋中さかなくさくなりそうだったので袋から出した常温の状態のまま、1匹の鯖を3人でつっつきました。
身はしっとりしていて、肉汁……じゃないですね、魚汁がジューシーで、……でもグルメを伝える語彙力を持ち合わせていないから、「買ったら高そう。」とかいう下品な感想しか浮かばなかったです。

焼き鯖、上等すぎたんだと思う。
おいしいのですが、あぶらが乗っているためかたくさんは食べられませんでした。疲労した胃腸が欲するのはお豆腐などの水っぽい食べ物で、鯖、3人がかりで食べきれず。

うちの冷凍庫にまだあと一匹眠っています。


そうそう、武内さんの、鯖街道初参加の感想をお伝えしますね。
武内さんは国内の大会が初めてだったんですよね(つなぎマラソン10kmを除く)。
どんなだったのかな。

「楽しかった。
 かな。
 楽しかったから、また出たいとも思ったけど、楽しかったから、もう最後でもいいとも思った。
 お父さんとの3人での思い出を大切にしたいな。
 これからきっと記憶は薄れていくけど、昔を思い出した時に、ぼんやりとお父さんと3人で小浜に行ったな、とか、細部は覚えてないけど、ぼんやりとした感じが、いいな、って。
 上書きすると忘れそうだから。大事件とか起きてないしね。そんな灯りがともったような思い出が好きなんだ。
  あと、小浜が端っこってのもいいんだよ。陸の端。海の街をとぼとぼ歩いてさ、3人で。お父さんの機嫌が徐々に回復して(注:くるみが3分遅刻したせい)、笑顔になって、海が見えて、とくに盛り上がるわけでもなく、日常をほんの少し逸れただけっていう雰囲気もね。
 走ったことより、小浜でのことの方が印象深いです。」

だそうです。
ありがとう。
わたしはあきちゃんを通じて父に親孝行ができてうれしいです。
父も我々に付き合ってくれてありがとうございました。

父、焼き鯖の夕飯の時、鯖の生き腐れがなんとかかんとかって話をしていた。
わたしは「鯖の生き腐れ」って言い回しを生まれて初めて耳にしました。
なんの話だっけ。おばあちゃんの話? 「おかあさんが『鯖の生き腐れ』ってよく言ってた」……って、どんな家庭なんだ、こわい。

父にとっての母の思い出が、娘であるわたしに、祖母の思い出として伝わっていく。
そして武内さんにも、ともだちのお父さんのお母さんの思い出が、ともだちのおばあちゃんの思い出としてぼんやり伝播されていく。

……あ〜! 
やっぱだめだ、家族をテーマにして作文コンクール優秀賞みたいなうっかりいい結びにしてみたかったのですが、武内さんが入ることでグッとややこしくなるから断念。

でも、ちょっと説明のつかない関係でいながら、ぜんぜん特別な存在じゃなくて、いっしょにいた時間をうすらぼんやりした思い出にしていけるって、それはきっと「しあわせ」だと思うんです。
そういう、おぼろげなともしびがふわりふわり、心の中をいくつか浮遊していればそれがわたしのしあわせ……つって、なんか最近言ってること老人じゃない!? 近々死ぬつもりとかないんですけど……。

ちょうちんみたいな淡いともしびじゃなくて、もっと蛍光灯とかLEDライトとか、ちゃんと文明に添ってギラギラ、欲にまみれて生きていきたいです。

ほんとは何も忘れたくないんだけどな。