杉先生。
熊本の、美術の先生です。
旅券を売りつけたあと、杉先生に写真を送ってもらうのをうっかり忘れていました。手元には斜めから撮ったショットしかなくて、難しいなあと言いながら記憶の先生を描きました。
後日手に入れた写真はこちら。
後頭部の杉先生は、実在の先生に比べてやさしさが欠けている気もしますが、母性は足りてる(老けてる)。
顔を描き直している間、隣のベンチで陽気に集っていたビール腹のおじさんたちがにこにこしながら応援してくれました。
撮ってくれたふたりのツーショットは変な構図だったのでトリミング。
さあ!
一路アレクサンダーさんおすすめの教会へ!
くすんだ色調の家並みに、可憐な野ばらが絵になります。
キャラメル色の車もおしゃれなベオグラードです。
画材屋さんを発見しました。
ここ一帯、アートの環境がやけに充実しています。
美大でもあるのかな?
キャンバスを手に取る杉先生。
武内さんがスケッチ(みたいに加工できるアプリを使用)した、画材屋をのぞきこむ杉先生のイラストです。
寄り道を控えて、目的地へと急ぎます。
早足で歩いていると、はちみつフェスティバルに出くわしました。
ベオグラードってハンガリー(はちみつが名産)の隣国だもんな。

見てるふり、読んでるふり、考えてるふり、起きてるふり寝てるふり。
さて、わたしたちの飛行機はちゃんと予約できているのだろうか。
ベオグラードの長い1日、これにて終了。
学生時代にわたしは、丸刈りにした後頭部に顔を描いて、ハンガリーまで行ったのです。作品になるかどうかもわからないまま。
未だに後頭部を剃っているなんて、卒業してからも美術の人でいるなんて、当時は想像もしていませんでした。
こんなに後頭部に生かされているなんて。
でも、だからと言って別にどんな未来も思い描いていたわけじゃなかったけど…。
なるようになりました!
ありがとう友人。

ありがとう誰彼かまわず。
ハンガリーのことを思い出して、いやはやです。
勇気について考えながら歩いていると、後頭部を見た中学生ご一行が「うわーっ」という奇声をあげて群がってきて、彼らの圧にたじろいだわたしは、杉先生、中学生マニュアルを教えてください! と、すがりたい思いでした。
集団の中にひとり、日本語を勉強しているという男の子がいました。
「ボクハ、ニホンゴ ヲ、ベンキョウ、シテマス。」
たどたどしい日本語に感動しました。
すごいね! わたしはベンキョウシタのに院試の英語12点だったよ。
しかし院試に受かっていたら今のこの後頭部はなかったかもしれないし、まああったかもしれないけど。
きりがないので、無限に存在する「かもしれない」可能性に心を砕くのはよそうと思いました。
ありがとう、後頭部。
元気でね中学生!!
夕方5時に締まってしまうと思って、走って5時2分前に辿り着いた教会はまだ当分あいているようでした。
しかし、入れたはいいものの内部は改装工事の真っ只中。これらももしかすると、水害によるダメージをくらっての工事なのか。
教会が、美術館のように改装中でも休まないのは、祈りの場を切実に必要としている方々が多くいるからなのでしょうか。
美術とは、祈りとは。
「考えさせられました」と書こうとして、考えるポーズしかとっていない自分に気づいていやになる。
走ってるふりをするのはちょっと難しそうで、いいなと思いました。
深夜のフライトまでまだまだ時間はありますが、完全に暗くなる前にベオグラード空港まで移動してしまうことにしました。
空港までの、バスチケット。
到着する頃にはあたりは暗くなっていたのですが、明るいネオンが物悲しく思えるほど、こじんまりした空港でした。
不安で仕方がありませんが、フライトの詳細は2時間前にならないとわかりません。
予約ができていなかった場合にたっぷり取り乱そうと思って早く来たのに、あまりにもなすすべがなくて途方に暮れました。
ベオグラードの長い1日、これにて終了。
杉先生、お疲れさまでした。
ありがとうございました!