後頭部ビジネス

若木くるみの後頭部を千円で販売する「後頭部ビジネス」。
若木の剃りあげた後頭部に、お客さんの似顔絵を描いて旅行にお連れしています。


*旅行券の販売は現在おおっぴらにはしていません。*

2014年10月26日日曜日

今日の世界遺産①、みどりさんと頤和園

10月18日、朝7時起床。

朝はだいたい慌ただしいので、前夜のうちに朝一番に描く後頭部のお客さんを決めていたのですが、今回の旅は早起きの老人(父)がいっしょなので朝寝坊の心配がいりません。ありがたいことです。

寝ぼけた頭で、前夜の出来事を思い出そうとします。

えーと、……、ハイ、みどりさん、

です!

みどりさんは昨年の六甲での写真も添付してくださいました。

初日にいらしてくださったみたいです。うれしいなあ。
お写真を見てもあまりピンと来なかったのは、この時かけてらしたサングラスのせいだと思いました。

わたしがまぶたを重く開けたり閉じたりしている間に、後頭部には武内さんのペンが走ります。

みどりさん、完成です!

おなかがすきました。
朝ごはんをいただきに、参りましょう!

ホテルの朝食バイキングです。全貌を把握しないまま闇雲に近くの食料を取ってきて満足していたのですが、後からまだ他に多彩な料理が豊富にあることに気づいて、立ち直れないと思った。でも、あと3泊あることを思い出したので、一気に天国へ昇天できました。

朝食だけで天国気分を味わえるなんて結構なことですが、今日のクライマックスがここだとしたらそれはかなしすぎると思いました。
今日は、世界遺産を4箇所まわる予定でいます…。

みどりさん、世界遺産第一弾をよろしくお願いします!

帽子をかぶってみどりさんになりきりました。

みどりさんの行き先は、頤和園です。

車窓からは、道路いっぱいに広がる信号待ちのオートバイや、オープンカーにふんぞり返る警察官の集合が見えました。心奪われる光景です。


「渋滞」という北京名物も味わえて得した気分です。
市内から1時間ほどで、庭園公園、頤和園(いわえん)へ到着しました。

日差しが目に滲みます。
快晴に恵まれました。

まず大きな寄せ植えの鶏に出迎えられます。頭から飛び出たトサカの曲線が強情そうで、よくできていました。

でも、お花で巨大な造形物をつくるっていう発想とか、色もかたちもモチーフの選択も、なんか野暮ったいんだよな、同じトリならやっぱり武内さんのやっている「ワタリドリ計画」のほうがいけてるよなと思いました。
ただ中国にケチをつけてるわけじゃなくて、ワタリドリ計画を自慢したいがゆえの発言なのですが、当局に目つけられたらやだな…。

頤和園の見どころはトリではありません。
入場はこれからです。

世界遺産、じゃーん!


門をくぐりました。


午前中でも頤和園は観光客でごった返していました。観光目的のツーリストは元々、スマホやカメラを手に撮影体勢に入っている人ばかりなので、ガイドさんが解説しようと立ち止まるたび、後頭部のみどりさんに向かって無数のシャッターが切られました。

皆の笑顔を追ってくれている武内さんもイキイキしています。


尿意を催しました。
中国語でおしっこのことは「ニャオニャオ(尿尿)」です。

ニャオニャオ!
トイレは、その土地のその土地らしさを実感できる重要な場所です。

はじめての、中国のトイレ!

通路は奥まで人がランダムにひしめいていて、バーゲン会場のようでした。

列がないので、横入りもない。
弱肉強食の自由な世界です。
「出したい」という意志を強く持っている者に優先権があるという感じでした。

『「出したい」その熱い気持ちがあれば、ヒトはいつだって戦える。』
『トビラを開けるのはそう、今!』

居酒屋Tシャツのバックプリントにありそうなポエムを考えていたら、コートの背中に謎の扇ワッペンをつけたおばさんを発見しました。
洋服の右か左かに寄せないで中央に配置したメンタルに注目すべきなのか、前じゃなく後ろについているという点に奥ゆかしさを思うべきなのか、それとも彼女の正面にはもっとめくるめく派手な世界が展開されているのか。

鍵が壊れているトイレもあり、半開きで用を足している個室を目撃するたびすごく気持ちが強くなって、その鍵のない個室に入ったら、普通に施錠できました。

謎が深まる中国のトイレでした。

お待たせしてすみませんすごく混んでいてなかなか競争に勝てませんでした!
ガイドさんに必死で遅くなった弁解をしました。



それから細くて暗い小道を抜けると、

にわかに目の前がひらけて、

あれが!


みずうみ!


昆明湖です。

すばらしい眺めなので、すぐに見せずにもったいぶって見せて湖の価値を高めているのだ、小道はそのための仕掛けなのだ、というガイドさんの説明でした。

湖そのものだけでも壮観なのに、その効果を最大限に引き出す、抜け目無い空間設計。
大自然と人間の叡智とがタッグを組んだ、頤和園の真骨頂ここにあり。興奮しました。




壁面に並ぶ窓もかわいかったです。

先人は、この窓から湖を眺めたのでしょうか。

窓に絵が描いてあって、それもよかった。


世界最長、東西728mに及ぶ回廊を歩きます。

柱の梁にはひとつひとつ緻密な絵画が描かれていて、中国4千年の歴史、伊達じゃありません。


木漏れ日は美しく、鳥のさえずりはのどかで、どこを切り取っても風光明媚な世界です。

回廊の左手には、太陽の光を受けてきらめく湖の乱反射。天国!

頤和園、とても気に入った!

みどりさんも気にいるといいな。

昨日の強い風で悪い空気もとんでいってくれたそうで、晴れ間ばんざいです。


ドラゴンの頭の続きは黄色い船。
100人以上を収容できるとのことでした。
復路はこれに乗って帰ります。

みどりさんと、北京の運河をクルージング!


風がとても爽やかでした。

武内さんが以前来た冬は、氷が張って巨大スケートリンクになっていたそう。
船は10月下旬〜3月と荒天時は運休です。

冬かあ…。いいなあ。


万寿山の頂にそびえる仏塔は、仏香閣と言って、頤和園のシンボルです。
塔の上から眺める湖もまたすばらしいとガイドブックにありました。


そうかこの時、自分が仏香閣を見ていると思っていましたが、あちらからもきっと湖上を見ている人がたくさんいたんですね。見合っていたとは知りませんでした。

バイバーイ! ちいさく、こだまを聞いた気がします。



あ! 橋!!!

全長150mの十七孔橋、欄干の上の姿の異なる544体の獅子の像は圧巻!
  って今ガイドブックを調べながら書いているのですが、知らなかった…。

橋も歩きたかったし、塔も登りたかったなあ。

時間が足りないなあ、もっとゆっくり来たいなあと悔しく感じましたが、京都に長く住んでいるのに行ったことのない名所はたくさんあるし、今だってきっと時間がないからこそ来られたんだ、とも思いました。


みどりさん、頤和園までつれてきてくれて、ありがとうございました!!