ガイドさんが大混雑の故宮博物館チケット売り場へ行っている隙に、慌ただしく後頭部を描き変えます。
お客さんを決めるくじ引きはわたしたちにとってもドキドキする瞬間です。
引きました、
出ました、
はっ!
彩乃さん!!
彩乃さんは去年も六甲ミーツアートにいらっしゃり、たまたま来ていたメディアの取材にも快くご協力くださいました。
その時の神戸新聞の記事も添付してくださいました。
お写真とともにいただいたメールは、
「くるみさんの事これからも応援しています!私も仕事頑張れます!!」
という言葉で締めくくられていて、「私も仕事頑張れます」の一文に、すごく幸せを感じました。こんなふうに彩乃さんの役に立てているなんて。幸せです。
わたしも後頭部ビジネスがんばれます!
故宮博物館へ!!
「ところで、故宮博物館は、撮影、OKですか…?」
博物館に行けるのはうれしいけれど、カメラNGなら後頭部ビジネス的には大問題だと思ってガイドさんに恐る恐る聞くと、意外な答えが返ってきました。
「中国の故宮博物館は、室内ではなく、建物を見るところ。屋外です。だから撮影は自由です。普通想像するような、宝物がたくさん展示してある故宮博物館は台湾にあります。」
「お宝は台湾に奪われてしまったが、建物だけは持って行かれなかった。なぜなら大きすぎるから。」
武内さんは過去、中国の故宮博物館にも台湾の故宮博物館にも行ったことがあるそうですが、「ごっちゃになって忘れちゃった」とのことでした。
ちなみに、北京のガイドブックで確認すると、「故宮博物館」ではなく「故宮博物院」となっています。
「館」の収蔵品でなく、世界最大の敷地面積を誇る宮殿群全体が見どころなのです。
3つあるトンネルは、皇帝用が真ん中、親族用が二番目、使用人用が端っこ、とそれぞれ指定されていたそうです。
身分の違いによって、住む場所だけでなく歩む道も厳しく区別されていたのですね。
それにしてもすごい人の数。
人がゴミのようだ…ってそういうアニメ、あったな。
ラストエンペラーで有名な太和殿だそうですが、ラピュタはわかるけどラストエンペラーは観てなくて…。落ち着いたら観ます。
わたしは制服を着ている人たちにどうも惹かれるのですが、そういう純粋な気持ちでカメラを向けたら、撮るなと激しく怒られました。
警察と軍人は撮っちゃだめとさっき言ったでしょ!
ガイドさんに叱られました。聞いてなかった…。
あやかりたい!
「この水瓶は、どのような用途で使われていたかわかりますか?」
ガイドさんのミニクイズです。
「酒を呑むため。」
「お風呂。」
「雨を貯めるため。」
ぶー。
答えは、火災が発生した時のため、でした。
この程度の水で消火できるはずはないので、ガイドさん曰く「気休め」とのこと。
水瓶の表面のエッチング痕がすごく良いテクスチャーだなあと見入っていたら、これは略奪の際についたものだと教わりました。純金製だとばかり思っていた水瓶が重くて運べず、実は銅製だったと判明。ひっかいて表面の金箔だけでも手に入れようとした名残なんだとか。
中国、奥深いです。
わたしたちが進む真ん中のメインルートの両側には、絵画館や珍宝館、陶磁館もあるですが、下にひと気がないところを見ると多くの人はメインルートを直進している模様です。
我々も収蔵品は諦めて先へ急ぎます。
宮殿の屋根のふちに、おとなしく整列する動物たち。
ありがたそうなものがたくさんです。亀も、もちろん鶴もいました。
後頭部の彩乃さんを撮りたいという方は引けを取らず、彩乃さんまでありがたいもの扱いされています。後頭部に、たぶんご利益ないですよ!!
午門(入り口)から神武門(出口)までは距離にして1、3kmあるんだとか。
ってガイドブックには書いてあります。
じゃあ今まではなんだったんだ…。
…「外朝」ですって。広い玄関を通って、これからお家、ということでしょうか。
同じような宮殿を通るたび、ガイドさんは熱心に説明してくれたのですが、音として聴こえてはいてもそれらの情報が意味を持ったものとして全然頭に入って来ず、ただ、「皇帝には3000人以上奥さんがいました。」「毎日ちがう人に替えても10年持つということです」というゲスなところだけピピーン! と反応できました。
「ここは寝室です。奥の赤い四角い箱がふたりのベッドです。新婚の奥さんにこの宮殿は広すぎて寂しいです。だから、寝室はこじんまりしています。寝る時に広さは必要ないから。ね?」武内さんがガイドさんに激しく頷いて同意を示していました。
今の話だけ頭に入ってきたよーとにやにやしながら言われて、鏡を見ているようでした。
あきちゃんがガイドさんの難しい説明わかってるわけないと思っていたよ。同類よ。
わたしは、手前に見える四角い派手な柄のがベッドだと思っていたのですが、武内さんに、違うよそれは座布団だよ、ベッドは奥だよと訂正されて、話を一番聞いていないのは武内さんよりわたしだということがわかりました。
故宮巡りもそろそろ終盤です。
工事をしている方がいました。
こうして少しずつ、地道に修復作業を進めていくんだなあと感心しました。
ガイドさんがトイレに行った隙を見て、なんでそんなとこ撮るの? と言われそうな、ひなびた扉を撮りました。
おもしろい木の瘤。
大きな手のひらがふたつ、約束を誓いあっているみたいです。
奇岩好きとしてはつい見惚れてしまいまう堆秀山も。
あっという間の故宮博物院でした。
紫禁城の北門です。
彩乃さんは、男性のお客さんから「おいお前キスしろよー」などと冗談を言われたりしていて、そうだよなあ、描いている顔によってお客さんの反応違うよなあ、おじさんの顔と美女の顔となら、起こるエピソードだってそりゃあ異なるよなあと実感しました。
「ここ、熊本みたい。」
ありがとうございました!