後頭部ビジネス

若木くるみの後頭部を千円で販売する「後頭部ビジネス」。
若木の剃りあげた後頭部に、お客さんの似顔絵を描いて旅行にお連れしています。


*旅行券の販売は現在おおっぴらにはしていません。*

2015年3月22日日曜日

山口亮さん①、江ノ島で占い

旅券の販売を打ち切ってから、なんとか買えないかとわざわざ美術館に問い合わせをしてくださった方がいらっしゃいました。

山口亮さん。
なんと3口も購入してくださったのですが、「北海道在住なので、北海道以外であれば国内でもかまわない(一箇所でも海外であればうれしい)」というお言葉に甘えることに…。

送ってくださった、お写真ではなくイラストの後頭部で風景の中に入ると、いつもよりも絵本や漫画の登場人物のような気持ちになりました。

武内さんと、友人と、友人の子どもとの4人で江ノ島へ向かいます。
免許取りたての友人の車に乗るのは初めてで、油断すまいと思ったのに助手席ですぐに眠ってしまいました。

お土産やさんの立ち並ぶ小道を歩きます。
赤い鳥居が見えてきました。

階段が続きます。

写真撮影の隙に、階段で上がった呼吸を整えました。

くぐると何かいいことのある輪っかです。

罪穢れが払い清められるそうです。
いちくぐりで総ての罪穢れがチャラになるのか、それともいちくぐりにつき、いち穢れしか面倒見てもらえないのか。
丸一日かけてくぐり続けたいぐらいでしたが、他にもお客さんがいたので3くぐりにとどめておきました。あと、他の方に順番を譲って最後にくぐったので、その分を加算してもらえまうようにと思いました。

鈴なりになっているピンクの絵馬は、物の見事にすべて恋愛に関する内容で、どいつもこいつもと舌打ちしたくなりました。

絵馬に夢中で見えていませんでしたが、去り際に振り返ると「むすびの樹」という立て札がありました。そもそもその手の祈願をする場所だったようです。みんな正しかった。知り合いの絵馬とか有名人の絵馬とかないかなと思って俗物根性丸出しで漁りましたが、発掘できませんでした。
むすびの樹か…。ほんとかな…。
絵馬に「キムタクと結ばれたい」と書いても叶う気がしないのですが、書くことで恋心が滅却されて、キムタク以外の新しいふさわしい凡人と結ばれるという、そういう将来性のある樹なのかな。
…今ブログを書くにあたって思いを寄せる手頃な有名人について考えたけど思いつかず結局キムタクって、自分の中のストックが貧困すぎて弱った。

むすびの樹以外でも、柵にはカップルの名前の書いた南京錠がいっぱい嵌めてあって、恋愛トラップがそこここに満載でした。

ここ江ノ島は、先日飛行機で武内さんといっしょに観た映画、陽だまりの彼女の舞台です。

恋愛映画を観るという選択からしてそもそも間違えていたのですが、それどころか映画のロケ地を巡る旅までしてしまって、わたしたち立派に女子じゃん! と思いました。


鬼も恋愛関係者なのかなあと思うと、何も信じられなくて怖かったです。

癒しを求めて女子高生に近づいたら、武内さんのカメラのレンズが急に曇ったそうで、「あれ? あれ!?」と慌てていました。
それ以降は元通り直ったというのがまた不吉でした。

女子高生に後頭部について騒がれることなくそっと迂回されて、こっそり落ち込んでいたのですが、年配の方にやっと注目していただけました。

ギャラリーに見守られて、真実の口に手をつっこみました!
ローマの休日でヘップバーンがやってたやつ!!
なんだ日本にもあるんじゃん! じゃあイタリア行くことないじゃん!
っていうかここがイタリアだってことにできないかな?!

普段の自分なら素通りするところですが、山口さんとのイタリア気分を味わうべく、100円を投じて(友人に借金した)敢行しました。

手相占いなんでしょうか?
手のひらの何か成分を読み取られたみたいです。
占い結果が出てきました。

ドキドキしながら見てみます。

『あなたは時として付き合いにおけるプライベートな関係と言ったものを尊重できないでいることがあります。

 あなたは周囲の状況や意見に服従しない人です。

 あなたは批評する能力において人並み外れた才能を授けられた人です。

 あなたにとっては起こりようもないような事故に遭う可能性あり。好転は望めないので要注意。

 あなたは時としてあなたの意識の中に潜む激しさや情熱的な恋愛に流され過ぎる傾向があります。

 あなたは今まであなたの避けられない強い運命によって恋愛やあなた自身の人生に対して失望を感じてきました。』

上記のことをカタカナで訴えられるので、「ハハキトク スグカエレ」的な、電報で訃報を受け取った時のような重みがありました。
っていうか『失望を感じてきました』で文章を締めるとか、なんか…。もっと救いの言葉を期待していたんですけど…。

というわけで総合得点。
セイカツ 9点
シゴト  9点
ケンコウ 7点
ギャンブル6点
アイジョウ4点

愛情がすごい勢いで足を引っ張っていました。
山口さん恋愛運あんまりなんだね〜。と言って空とぼけたら、友人が「くるみちゃんの手のひらなんだからくるみちゃんなんじゃない…?」と言いづらそうな顔で教えてくれました。

連帯責任でお願いしたいです。

手のひらに愛想をつかしたわたしは、友人の子どもを抱き上げて後頭部活動に励みました。

父性を発揮しました。

夫婦饅頭を食べました。
なんか夫婦饅頭ってエロいと思った。

想像力が豊かでした。

わたしは黒いほう(夫)を食べました。

群青にひらけた地平線に、「はあーっ、海見たのいつぶりかなあ」と言ったら、「2週間前じゃない? 台湾で見たよね。」と言われて、自分の記憶力にびっくりです。



階段のアップダウンが続きます。

陰影のない富士山は、空にスタンプされたみたいにくっきりした輪郭を見せていました。

洞穴を見に行きました。

おそるおそる覗きましたが、良からぬ物も良からぬ人も、危ないものは何もなかったです。

陽だまりの彼女では、確か、陽が暮れる前に、樹里ちゃんが猫ちゃんに変身しちゃうんでした。

友人はクロちゃんという猫を飼っているのですが、武内さんが「帰ったらクロちゃんが羽生くんに変身してたらどうする?」とか聞いて、友人が興奮のあまり過呼吸を起こしていた。
「羽生くんが私のパンツくんくんしてたりしたらどうしようー!」

それから、いかに羽生くんが優秀かを延々プレゼンされて、異常だなと思っていたのですが、後に世の中には羽生くんを熱烈に応援するブログがたくさんあることを知って、友人が特別いかれているわけではないんだ、とほっとしました。

山口さんの眼鏡の奥の目のハイライトがきらりと光って、北海道よりも長い、冬の日暮れに中にいました。
空では寒色と暖色がせめぎあって、何か、本当に何かが変身するのを待ちたいような一瞬がありました。


友人の家に帰って、羽生くんと猫と樹里の話をしながらムール貝を食べました。
とてもおいしかったです。
ごちそうさまでした。


山口さんとの旅行、続きます!