後頭部ビジネス

若木くるみの後頭部を千円で販売する「後頭部ビジネス」。
若木の剃りあげた後頭部に、お客さんの似顔絵を描いて旅行にお連れしています。


*旅行券の販売は現在おおっぴらにはしていません。*

2015年3月22日日曜日

山口亮さん②、大涌谷と箱根の湯

2回目の山口さん、本日の行き先は箱根です。

今日の富士山は、雲の帽子をかぶっています。

風が猛烈に強く、吐く息は白く、北海道に負けないんじゃないかと思われる厳しい寒さでした。
後頭部の山口さんを写さなければという責任感に、首筋のリンパを保温したいという本能が襲いかかって苦しみました。

神泉の湯でかじかんだ指先を保温。

大湧谷に、着きました。

硫黄の香りが鼻を突きます。


寒々しいはだかの山肌に湯煙が白くたなびいて、黄泉の国を思わせました。

大涌谷名物の黒玉子は、ひとつ食べると7年長生きすると言い伝えられています。

黄泉の国で食べ物を口にしたら、現世に帰れなくなるんじゃなかったっけ?

そうなったら7年長生きどころの話じゃないなあと思いながら、山口さんの長寿を願って黒玉子を机にトントンと打ち付けました。
黒かったのは殻だけで、ひび割れからこぼれたのはつるりとした真っ白な肌でした。

白身はプリプリとかたく、モフモフの黄身は粘膜にへばりついて、硫黄の味が…調子のいい時のおならを上品にしたみたいな味がしました。

黒たまごの表面の黒色は硫化鉄だそうです。
貧血に効きそう。殻も食べれば14年くらい長生きできたんじゃないかと思いました。


みんな玉子を手に口の中をモフモフさせていて、同じ寒さの中で同じ物を食べていると仲良しな気持ちになりました。

流れる水は白濁しており、あたたかそうに微かに湯気を立てています。

駐車場にあったマップには「芦ノ湖」の文字があって、ああああー、箱根駅伝で出てくるところだ! と、興奮しました。

帰りには「宮の下」の交差点も!
ここも中継でよく出てくるところです!
いやあ、箱根って、テレビで見る架空の場所だと思っていたけど、本当に現存するなんてね、と思うとじわっときました。

出発前、「山口さん、買ってくれたチケット3枚のうち2枚を江ノ島と箱根にしちゃうって、どっちも関東だしなんか気がひけるよ。京都でとか、なんかまた別の機会に山口さん描くよ。」そう言ってうじうじしていたわたしに、「別に誰も行き先にそんなに期待してないって。先延ばしにしても苦しいだけだよ早くやっちゃうよ! そんなに気がかりなら、温泉行こうよ。女湯入るのってけっこう夢だと思うよ。ね? はい箱根行くよ!」とこわい友人が言ってくれたのでした。

そうかあ、女湯は男の夢かあ。
新鮮な気持ちでのれんをくぐりました。
男目線になると、脱衣所からしてロマンが充満していました。


失礼します!

体を流して湯につかります。
あったかーい。
疲れがいっぺんにほぐれていきます。


あったまったところで、山口さんの顔が消えてしまわぬよう気をつけながらのシャンプー。






サウナも、お湯の種類もたくさんあって、いくつもの島を渡り歩きました。
山口さんを背負っていると、他の女性客を妙に狡猾に観察する自分がいて、いつも見ないところもばっちり、仔細に眺めることができました。
隠れ蓑みたいに女の皮をかぶって、極楽です。

更衣室の二階にある女性客だけのくつろぎスペースには、「此処から男湯は見おろせますがその逆はありません」という注意書きがありました。

男女平等的に、セクハラにならないのかなあと思って行儀よく薄目で見たけど、よくわからなかったので、ガッと目を見開きました。
目を皿のようにして探しましたが、たぶん女湯しか見えなかったと思います。

気が抜けて、だらしなく寝ました。



オセロをしたり、マッサージをしたりしてみんなで遊びました。


すっぽん鍋で精力をつけて帰りました。
雑炊がとてもおいしかったです。
ごちそうさまでした!