後頭部ビジネス

若木くるみの後頭部を千円で販売する「後頭部ビジネス」。
若木の剃りあげた後頭部に、お客さんの似顔絵を描いて旅行にお連れしています。


*旅行券の販売は現在おおっぴらにはしていません。*

2015年3月25日水曜日

月曜日の丹羽豊さん

丹羽豊さん、奥様と2年連続でミーツアートをまわってくださったそうです。
展望台で撮った佐川好弘さんの「胸の土器土器」といっしょに撮った豊さんのお顔は、全然もんもんとしていませんでした。

里枝さんとご夫婦で後頭部ビジネスに申し込んでくださいました。
役者さんのようなフォトジェニックな佇まいです。

描けました!
白黒にして雰囲気を出してみました。

里枝さん。

豊さん。
おふたり、よく似ておられる…!

仲良しご夫婦でうらやましいです。

おそろしくかわいい扉の前でパチリ。


取手も動物モチーフで隅々まで素敵でした。

三角旗がぱたぱた踊って、カーニバルのように楽しげです。



屋台でタコスを食べました。
野菜やソースを自分でトッピングするセルフ方式で、好みの配合で食べられます。
アボカドソースがおいしかったです。



地下鉄のファナカトラン駅で降りました。


ピンク色が目印のヒラルディ邸は、ルイスバラガンの設計した最後の建築です。

要予約のため中には入れず、ピンクが色褪せました。
褪せてもおしゃれな建築でした。


ヒラルディ邸の斜め向かいにはターコイズブルーの建物があって、通りの色バランスの完成度が高かったです。

地図を見ながら、ルイスバラガン邸を目指します。

あれ?
ここかな?
予想に反して殺風景な外観。

見学には予約が必要だが場合によっては「けっこう見せてもらえる」という噂を元に突撃しましたが、扉は閉まっており無人でした。
窓から覗く黄色がやわらかく、後日リベンジすることにしました。

ルフィーダタマヨ美術館もお休み。
月曜日の今日、ほとんどの文化施設はお休みです。
メキシコは高度が高く空気が薄いせいか、なんとなくずっと息が苦しく、だるい感じが続いています。
4時、先輩と待ち合わせをしていましたが会えず、待ち合わせに間に合うよう走った時に武内さんともしばらくはぐれてしまい、別行動は危険だなと痛感しました。
携帯がなかった時代にどうやって人と会っていたのか今となっては思い出せません。

プロレスはやってるかな?
アレーナメヒコに行ってみましたが観客で賑わう様子はなく、入り口にたむろしていたおじさんに、また明日おいでと首を振られました。その上外人向け価格の高額チケットを買わされそうになって、危ないところでした。

街歩きに徹することに決め、多くの人でごったがえす三文化広場に行きました。

風が強く薄曇りですが寒くはありません。
冷暖房完備の快適な室内の中にいるようなちょうどいい気温です。

キリストの存在感が風船のボリュームに負けています。
微笑みを誘う、悲壮感のない装飾でした。

ヨーロッパを思わせる重厚な建物が立ち並びます。

教会のまるい屋根も目を引きました。

外はだんだん暗くなってきました。
ガイドブックに18時まで見学可とあった、宮殿の展示を見たかったのですが、入り口の物々しい雰囲気にひるんで腰がひけました。


今日は立ち入り禁止なのか、それとも閉館まで30分を切ったからいけないのか、入場は断られ、しかし隊員の面々は思いのほかフレンドリーで笑いながら記念撮影に応じてくださいました。肩まで組んでくれて、ファッションとのギャップが大きかったです。

衣料品に雑貨に食べ物の屋台にと、どの道に入っても所狭しとお店が並んでいました。

地べたにごろんと身を投げ出している女の子は無防備そのもの。
自然体の街並みに感嘆しながら歩いていると、男性に「エクスキューズミー、英語はできるか」と声をかけられ、おっ、写真かな? のんきに後頭部を見せると、真剣な顔で「ここから先は治安が悪いから用がないのなら引き返したほうがいい」と忠告されました。
ハッとしてあたりを見渡すと、雑然としたあれこれが急に凶暴に思えてきて、後頭部に向けられる人々の好奇の視線にも、「狙われているのでは」と不安をかき立てられました。

広場のサンティアゴ教会にあわてて引き返し、ほっと一息です。
お嬢さんとのツーショットをお願いされた時に、この機に乗じて武内さんとも写真を撮ってもらいました。
この人にはひったくられないと信じてカメラを渡すのですが、神経が過敏になっているため、後ろ向きで写真におさまるのはやっぱりハラハラする時間なのでした。

武内さんはカメラの「キャノン」の文字をマッキーで塗りつぶす念の入れ用で、いつもはパスする海外旅行保険にも今回はちゃんと加入しています。
教会の周辺はやけに赤ちゃん連れが多く、警戒心を解いているとややあって異様さに気がつきました。

どの赤ん坊もつくりものだったのです。
なんの行事なんだろう?
ほとんど全員と言っていいほど、教会から出てくる人が赤ちゃん人形を抱きかかえているのは、事情がわからないストレンジャーにとっては奇怪な光景でした。

夕暮れの広場にも親子連れの姿が目立ちました。

広場一帯で凧揚げが行われています。
あきちゃん趣味凧揚げじゃん! いっしょにやりなよ!
わたしは目を輝かせましたが、いつも鞄に持ち歩いている凧をこの日は宿に置いてきてしまったそうで、仕方なく見物に徹しました。
日没の空を、もどかしそうな身のこなしで凧がバタバタ泳ぎまわっています。
予測できない動きに視線をさまよわせながら、赤ちゃんと凧ってどういう習わしなのかと不思議に思いました。
後にメキシコ在住の日本人にも聞いてみたのですが、いまだ謎は解けぬままです。


バンド結成みたいなジャケ写が撮れました。
センターが冴えないのが惜しいところですが、右ふたりのポージングが決まっています。


市内の細かい地図が欲しくて、ツーリストインフォメーションを探してうろつきました。
誰に聞いてもいつまでも見つからなかったのは、もう閉まっていたからでした。

日も暮れてきたことだし、散歩を兼ねて宿まで歩いて帰ろうと方向を定めました。

ぶらぶら歩いていると「くるみちゃん!」という声がして、空耳かなと思ったら、夕方、待ち合わせに失敗した先輩たちがバーの外テーブルで飲んでいらっしゃいました。
奇跡的すぎてうまく驚けませんでした。

今日2度目のタコスです。
メキシコと言えばタコスというイメージはありましたが、ここまでタコス一強だとは思いませんでした。
「人のいるところにタコス屋あり」の格言にも納得です。


先輩が待ち合わせに遅刻したおわびにと変わった果物をくださいました。
「時間にはルーズなのがメキシコの常識だ」って待っていなかったことを怒られて、一理あるかもしれないけどその一理は理不尽じゃない? と思っていたところだったので、やさしいお気持ちにかえって気まずい気持ちになりました。


街角にはこぎれいな展示がありました。お人形の衣装や籠が丁寧なキャプションつきで飾られていましたが、文字が読めないとなんのことだかさっぱりでした。

この宮殿にはギャラリーが入っていて、ここで展覧会をするのが美術家の憧れだそうです。






写真写真写真写真写真。
豊さんはとてもモテました。

決死の覚悟で、お仕事中のピエロのお方とも写真を撮らせていただきました。
気の弱いわたしはこの際に自律神経を壊しました。

非常に疲れてふと目線をあげると、電線に靴がぶらさがっています。シュールな光景です。
メキシコでは盛り上がると靴を投げるそうで、思いがけない中空に靴があるのは珍しくないとのことでした。

里枝さんに続き豊さんも笑い顔ではなかったせいか、普段よりも真剣に物事と向き合えた気がします。
思考を促される旅になりました。
これから少しずつメキシコの常識を学んでいきたいと思いました。
豊さん、そして里枝さん、濃い一日をどうもありがとうございました!